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Channel: ひょんなことから国立大学助教授になった加藤雄一郎の奮闘記
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「新・品質の時代を生きる」

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タイトル 「新・品質の時代を生きる」 I先生

 我が国は1980年代初めに「品質立国、日本」を確立し、経済的大成功を収めた。当時は、時代が品質を求めており、品質は最大の競争優位要因だった。顧客ニーズにこたえる製品を設計し、設計通りの製品を実現する能力によって、高品質で安価な工業製品を生み出すことがなによりの勝因だった。

 しかし、時代は変わった。社会の成熟化や、製造業におけるアジアの台頭などによって、事業の競争力を左右する能力・側面が変化した。

 時代の変化の様相を捉え、その上で、自らの強み弱み、特徴を知る必要がある。変化した暁に実現すべき「あるべき姿」を自覚し、自己変革することが変化の時代を生き抜くカギとなる。

 これまでのビジネスモデルが今後も通用するとは限らない。新たな経営スタイルの確立が必要。品質マネジメントを「顧客価値提供マネジメント」として捉え直し、顧客価値提供に焦点を当てた持続的成功を志向することが有益な視点となる。

顧客価値提供における重要概念
1) 顧客価値
組織設立の目的は、製品・サービスを通した価値提供。製品は価値提供の手段・媒体に過ぎない。「品質」とは、提供価値に対する顧客の評価を考えるべき。

2) 能力・特徴
能力とは、価値提供を具現化する力のこと。競争優位になりうるもの。競争優位のために組織が持つべき能力および特徴の全体像を「組織能力像」として顕在的に組織全体で共有することが求められる。

3) 事業シナリオとシステム化
「どんな顧客に、どんな顧客価値を、どんな能力・特徴を武器に提供するか」を表したもの。必要な組織能力はQMSとして実装および日常化されることが重要になる。また、時代とともに競争優位要因は変化するため、変化の様相を捉えて組織がもつべき能力の特定に常に意識的であるべき。継続的な自己変革が欠かせない。変化への対応能力をシステム化することが求められる。

事業とは「持続的顧客価値提供」のこと。①実現すべき顧客価値の設定、②顧客価値を提供する競争優位となる能力の確立、③競争優位を実現するシステム化に加え、④時代の変化を捉えてこれらを繰り返し刷新していくことが、持続的成功をもたらす。



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