全方位で網羅するのではなく、
重点志向。
絞り込まれた方針を
「重点実施項目」として組織内部に示す。
方針 = 目標 + 方策
どのような方策によって
どのような目標を達成すればよいのか
という2点を経営目線で示す。
[ポイント1] 経営目線
SPとOCに基づき策定された戦略ストーリーを高度実現するという立場を堅持。各部門が自らが達成すべき部門方針を自ら考えることを促すに相応しい表現レベルを心がける。「その方針は、部門長が部門方針として示すレベルだよね」という内容は、トップ方針として不適。
特定部門の取組みに踏み込んだ言及が招く不具合として、次の2点が挙げられる。
(1)各部門が自ら考えなくなる
「自部門は何を達成すべきか?」「何をすべきか?」という問いの答えがトップ方針に示されてしまっているため、自ら考える必要がない。「考えない組織は、トップ方針に問題がある」ともいえる。
(2)組織の縦割りを招く
トップ方針が営業部門や開発部門など各部門向けに示された内容である場合、各部門から見れば該当する方針の達成が目的化し、自部門が関わらない方針は極論すると無視して構わないことになる。各部門がそのような行動をとれば、部門間の関係が希薄な縦割りを招くことは必然。
[ポイント2] 管理点だけでなく、点検点を示す
マネジメントとは、PDCAをまわすこと。トップが示す組織目標が「総売上」や「市場シェア」「新規顧客増加率」「顧客維持率」など結果系KPI(管理点)の場合、期末の総括は「達成or未達」の評価しかできず、来期に向けた計画(P)に示唆がもたらされない。また、期中の評価は、叱咤激励しかない。「売上が伸びない。もっと営業をかけろ」「受講者数が伸びない。もっと研修メニューを増やせ」は前時代的であり愚の骨頂。これをマネジメントとは言わない。
管理点はあくまで結果。そのような欲しい結果をだすために、プロセスがある。プロセスは「システム」「仕組み」といっても差し支えない。そのようなプロセス、システム、仕組みを表現したものが「戦略ストーリー」である。戦略ストーリーが健全に機能しなければ、欲しい結果は得られない。マネジメントするには、戦略ストーリーが健全に運営されているかどうかを測る尺度が必要。そのような尺度が、点検点。
[ポイント3] 特定部門によらないグローバルKPIを目指す
ここでいうグローバルは、「地球規模の、全世界の」ではなく、「特定部門によらない、広範囲の、全体的な、包括的な」の意。部門間連携を促進するか、あるいは縦割りを招くか。それは、トップが組織内部に示すKPIの巧拙にかかっているといっても過言ではない。望ましいKPI表現は、各部門の利害を超越した包括的な点検点であること。これができれば、各部門に「自部門は何をすべきか?」を考えることを促すことができる。
パラパラと関連する複数のKPIを羅列すべきではない。これをやると、期末に「このKPIは達成されたが、あのKPIは未達」といった事態を招き、結果として当該重点実施項目は達成されない恐れがある。重点実施項目は、一つの項目にKPIが一つ。そのKPIは、グローバル点検点。これに、その点検点が直接的にもたらす管理点も併せて提示することが理想。
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[まとめ]
重点志向に基づき
方針を重点実施項目として示すことが中計のポイント。
優れた方針は、
「さあ、やりなさい。実行に移しなさい」ではなく、
「さあ、考えなさい。組織目標の達成に向けて自部門が何をすべきか自ら考えなさい」と、各部門に考えることを促す。
方針 = 目標 + 方策
方針は、目標と方策から構成される。
目標は、
管理点と点検点に大別される。
各重点実施項目が示すべきは次の3点
(1) グローバル点検点
(2) グローバル点検点が直接的にもたらす管理点
(3) 上記2つを達成するための具体例な方策