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Channel: ひょんなことから国立大学助教授になった加藤雄一郎の奮闘記
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編集後記(案)

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「味穂会談」・・・ 理想追求型QCストーリーの誕生は、大阪・心斎橋の「味穂」という居酒屋での、当時は加藤研究室の学部4年生だった松村喜弘君との飲み話がきっかけです。私たちの中では、あの日のことを「味穂会談」と呼んでいます。この日、味穂の店内は満席で、我々は店の外の道路で、瓶ビールのケースをひっくり返してそこに座り、おでんを食べながら話をしていました。あのときの話が、こうして図書として出版されたことに色んな意味で感慨深く思います。

あの日は、広島で行われたマツダでのワークセッションの帰りでした。広島からそのまま名古屋に帰るのはもったいないということになり、野球にはほとんど興味をもっていない松村君を半ば強引にオリックス・バファローズの本拠地・京セラドーム大阪に連れていって野球観戦した帰りです。

なぁ、松村。いまマツダでやっている取組みは絶対に方法論として形になると思う。名称は既に考えていて、理想追求型QCストーリーにしたいと思っている。俺はどうしても理想追求型QCストーリーを産業界に提案したいんだ。名称だけで中味が作り込まれていない状況ではあるが、一緒に作ってみないか?」・・・ 松村君は二つ返事でした。「是非やりましょう」と。

正直にいうと、確立までの道のりは悪戦苦闘の日々でした。その後、いくつもの企業との取組みを経てようやく出来上がったのが本書で記した12ステップです。理想追求型QCストーリーの確立に関わってくださったすべての企業にこの場を借りて厚く御礼申し上げます。加藤研究室単独の取組みによってできたものではありません。決して大げさな言い方ではなく、ここまでこれたのはご一緒した企業との、血と汗と涙の結晶です。

その源流を辿ると、コマツに行き着きます。コマツとは2007年から現在までずっとご一緒させていただいておりますが、ブランドマネジメントプロジェクト(通称「BMプロジェクト」)の発足初年度に、メンバーのみんなで考えた言葉が「理想追求型」
でした。価格競争に屈することに成りかねない最もダメなのは「取引型」、その後、コマツが独自のプロセスとして確立したのが「問題解決型」、そして、これからは我々プロジェクトメンバーの手で「理想追求型」と呼ぶに相応しいプロセスを確立したい。当時ご一緒したメンバーのみなさんの思いを引き継ぎ、このたび命名したのが「理想追求型QCストーリー」です。顧客と理想を共有し、その理想を実現すべく双方で力を出し合って実現するプロセスの確立・・・ この発想は、コマツのブランドマネジメントプロジェクト(BMプロジェクト)で生まれました。それから7年もの月日を要しましたが、こうして手続きとして明示化できたことを私自身、ほんとうに嬉しく思っています。

さらに言うと、私が3回にわたってリーダーを務めた品質管理シンポジウムでご一緒したメンバーのみなさまのご意見も理想追求型QCストーリーの確立にただならぬ影響がありました。「最も喜ばせたいのは誰か」、「誰に何をさせてあげたら喜ぶか」・・・ リード・ユーザー概念を持ち込むきっかけを与えてくださったのは、品質管理シンポジウムでご一緒させていただいたメンバーです。

たった1○○頁の本書ではありますが、この本はみんなの知識の集約と生成がもたらしたものです。決して、私・加藤雄一郎によるものではありません。

私の思いは一つです。これだけの技術力があるのにグローバル競争で負けてたまるか!・・・ これしかありません。理想追求型QCストーリーはいったんのステップ表現に至りましたが、今後さらに経験を積むことで更に精緻化されていくと思っています。いまだに微力ではございますが、理想追求型QCストーリーをきっかけに我が国製造業に少しでもお役に立てますよう、生涯を閉じるまで全力を尽くすことを誓い、本書を締めくくらせていただきます。

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