ほかの製造業と同様、
○○年ころまでは、差別化された製品ハードの開発に重きが置かれていた。
当時から「サービス」という語は幾度も登場してはいたが
その意味合いはあくまで「製品のサポート」という性格が強いものだった。
2004年3月期に、2期連続増収増益、
2005年3月期に、営業利益で23期ぶり。当期純利益で24期ぶりに最高益を更新して
2006年3月期に、4期連続増収増益。売上高営業利益率は目標としていた二桁台に達しました(P7)
V字回復を鮮明にすると、その後、攻めに転じた(2006 P8)
2006年3月期を最終年度とした中期経営計画で4つの経営指標とし、これらすべてを1年前倒しで達成した後、売上高営業利益率10%以上という新たな経営目標を掲げた。
建設機械の世界需要を見ると、20年ぶりに大きな市場回復のうねりがグレーター・アジアを中心に起きており(2005 P9)
グレーター・アジアが今後の市場拡大のドライバーになると考えられた(2005 P10)
ロシアから全アジア諸国やトルコなど中近東までを含み、資源にも恵まれ今日38億人が生活している地域はコマツではグレーター・アジアと呼ぶ。2006
*1 中国、東南アジア、インド、中近東、CIS(ロシアなど旧ソビエト連邦の構成共和国で形成された独立国家共同体)を含む広い意味でのアジア圏をコマツではこう呼んでいます。2009
2006年度の経営方針では
「世界市場、特にグレーター・アジアでポジションを高める」ということが新たな目標として明記された(2006 P5)
高い成長が見込まれるグレーター・アジアをはじめグローバルにポジションを高めていくことになったのである(2006 P9)
私たちが特に注力しているグレーター・アジアでは、資源・エネルギー開発の需要拡大に加え、道路、鉄道などのインフラ関連のプロジェクトが多数計画されていることから、今後3年間の需要は年平均16%増加するとみています。全体の需要に占めるグレーター・アジアの割合は2007年3月期の27%に対し、2010年3月期には36%まで拡大する見通しです。2007 P9
グレーター・アジアについては第一次経営構造改革の成果もあり、既にNo1のポジションを維持しています。2007
しかしながら他社も成長著しいアジア地域に注力し始めており、グレーター・アジアでの競争はますます激しくなると考えています。コマツは、プロダクトサポート体制の強化に引き続き取り組むとともに、新たな市場を創り出すことを目的に、アタッチメントを中心とした地域特性を考慮した商品の開発や商品レンジの拡大、および現地生産の拡大などの取組みを地域ごとに推進し、グレーター・アジアでの更なるポジションの向上を図ります。2007 P11
消耗部品は競合する部品メーカーが多く存在していることから、
コマツは代理店と一体となり、お客さまにコマツ純正部品のメリットを認識していただき、ご購入いただけるよう地道に対応していきます。2007 P11
・このグレーター・アジアにおいてナンバーワンであるポジションを更に強固なものにするために、新機種導入、販売網の強化だけでなく、現地生産体制の強化、革新的なITの活用ならびにサービスエンジニアの強化・育成に注力し、お客さまとともに将来の成長をめざし前進します(2006 P18
・グレーター・アジアではプロダクトサポートを集中的に強化しています(2005 P10)
・市場拡大が期待できるグレーター・アジア市場では、プロダクトサポート網の整備をはじめ、事業体制の強化に努めます(2005 P5)
・グレーター・アジアなどの新興市場において、プロダクトサポート体制を更に強化し、コマツグループのポジションを一層高めます(2006 P4)
また、2006年度には
第二次経営構造改革の立ち上がり
ITを活用した「バリューチェーン」の改革。お客さまの生産性を改革するビジネスモデルの構築に取り組んでいくことが示された。2006
2001年に開始した経営構造改革では、「固定費の削減」、「グレーター・アジアでのポジション向上」、「ダントツ商品の市場導入」を3つの柱としてきた。
2006年に策定された中期経営計画「Global Teamwork for 15」のとき
BMの取組みを開始することも併せて決定された。 2008
コマツにおける経営の基本は、
「企業価値とは、社会とすべてのステークホルダーからの信頼度の総和である。」との考えがにより、企業価値を向上させることに立脚している。
当時の
・業界トップレベルの収益性と財務体質を維持し、世界市場、特にグレーター・アジア* でのポジションを高めること
・社会ならびに株主の皆さまからの信頼度が反映される株式時価総額を意識した経営を続けること
以上の二点を経営目標を達成するために、
①コンプライアンス(法令順守)・安全・環境対応の徹底、
②「コマツウェイ」の定着・深化およびグローバルな人材育成に加え、新たに
③お客さまからの信頼度の向上を図るためのブランドマネジメント(ブランド力の強化)が導入された。
2008
世界中のコマツグループの社員と販売・サービス代理店・協力企業の皆さまとの協力の結果、すなわちグローバルなチームワークにより、
収益力が更に向上し、売上高営業利益率は昨年策定した中期経営計画「Global Teamwork for 15」の目標である15%にあと一歩の14.8%まで高めることができました。 2008
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収益力の更なる向上を加速すべく
第二次経営構造改革を2006年からスタートさせた 2007
特に主眼に置いているのは、
(1)
ITを活用しバリューチェーンを改革することと、
ITを活用した「バリューチェーン」の改革。お客さまの生産性を改革するビジネスモデルの構築に取り組んでいきます。
バリューチェーン(コマツグループ・代理店・サプライヤ・お客様の事業活動から生み出される価値)の改革活動と、
(2)
企業の成長を支えているのは人材ですから、グローバルに人材育成を進めることです(2006 P9)。
強みである「現場力」を国内外で更に高める。将来にわたってこれを伝承するため、「コマツウェイ」として明文化し共有していきます。(2006 P6)
それを通じたグローバルな人材育成に取り組んでいます(2007 P5)
販売・サービス代理店やサプライヤーのみなさんなどパートナーも含めた全世界のキーパーソンで組織横断的なチームを編成し、実務における改革活動を通じて人材育成を図っていくことを目指しています。(2006 P9)
第二次経営構造改革の中で、
我々の強みを明文化し、「コマツウェイ」としてグローバルに共有するための作業を進めています。
これはモノ作りに限ったものではありません。ガバナンスの強化の在り方なども含めて、人や時代が代わっても守っていくべきものが「コマツウェイ」だと考えています(2006 P13)
コマツウェイとは、
コマツグループにおいて「グローバルにここだけは守り続けたい」もの、「人が変わっても脈々と受け継いでいってほしいこと、いわばコマツのDNAのようなものだと考えています。
私がコマツウェイ推進室長となり、約1年半かけ、2006年7月に冊子としてまとめました。2007 P13
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コマツのプロダクトサポートの基本方針は「お客さまが、機会をコストミニマムで、安心して使用できる状態にするためのサポートを提供する」ことです(P22)
中国では、KOMTRAXから機械の稼働時間や稼働状態を把握し、お客さまに適切な保守サービスを提供しています。加えて、機械ごとに月次報告書を作成しており、お客さまは車両管理の効率化に役立てています(2006 P21)
建設機械は生産財という性格をふまえ(2005P16)
「ITを駆使して生産性の最大化を目指す(2005 P17)」と記されるようになった。
2007年3月期には
5期連続増収増益、3期連続の最高益という過去最高を記録
この結果の背景には、
代理店をはじめとしたマーケティング部門の地道な営業活動、プロダクトサポート活動によりお客さまとの信頼関係を築いていることがベースになっている(2007 P8)
コマツグループは、コマツグループの強み(KOMTRAXや無人ダンプトラック運行システムをはじめとする建設・鉱山機械のIT化など)を生かした商品や販売・プロダクトサポートにより、お客さまの事業への貢献度を高め、お客さまのビジネスパートナーとして不可欠な存在になっていくことを目指しています。 2007 P6
この前後から(正確には2005以降)
「 モノ作りを中心に据えたコマツグループの目指すべき方向は明確です。それは「お客さまに喜んでいただける商品(ハードとソフト)を提供し、それにより収益をあげて成長すること」です。経営に携わる者はもちろん、国内外のコマツグループの全社員が自身と使命感を持ち、叡智を結集してこれを実現してまいります。」とアニュアルレポート冒頭に明示されるようになった。
建設・鉱山機械部門では、引き続き需要が拡大する中、
性能面で圧倒的な特長を備えたダントツ商品の市場導入と拡販に加え、販売価格の改善やプロダクトサポート体制が強化されていったのである 2008
2009
しかし、
・ 米国に端を発した金融危機の影響が新興国や資源国など他の地域にも波及し、また資源価格も急速に下落に転じるなど、世界全体が景気後退に向かうという、従来にない極めて厳しい環境となりました。
・ 米国発の金融危機を発端とする実体経済の悪化は、米国、欧州だけでなく、これまで順調に経済成長を続けていた新興国にも波及し、世界全体が景気後退に向かうという、従来にない極めて厳しい経済環境になっています。
これまで6期連続増収増益、4期連続で最高益更新を続けてきたコマツの業績も、一転して7期ぶりの減収減益となりました。
・ 建設・鉱山機械の世界需要は、2004年3月期以降、新興国を中心とした需要増により、毎年15%程度増加してきました。しかし、急激な環境悪化により、2009年3月期は一転して約2割の減少となりました。
・ この傾向は2010年3月期も継続し、建設・鉱山機械の世界需要は、前期比で更に約26%程度縮小し、2004年3月期のレベルまで戻ると予想します。
・ 世界的には、建設・鉱山機械市場の急速な回復は期待できず、引き続き厳しい事業環境が見込まれます。
このような背景を受けて、
先が見えない現在において大切なことは、需要の変化に対応できるよう、会社をどれだけ利益率の高い体質にするかということだと思います。
売上げが伸びない中で売上高営業利益率を高めていくために、引き続き7つの重点活動に取り組み、成果を上げ、更に強い企業体質にしていく必要があることから、
2010年3月期をゴールとする中期経営計画「Global Teamwork for 15」では
既に組織内外に示されている7つの重点課題に引き続き取り組むことが徹底された。
(1)ダントツ商品の開発
ITを活用した建設機械の遠隔管理システムとして、中小型建機向けにはKOMTRAX(機械稼働管理システム)、鉱山機械向けにはVHMS(車両健康管理システム)を搭載しています。これらのシステムにより、オフィスにいながらにして、稼働時間や故障履歴、燃料消費量など機械の稼働状況をリアルタイムで把握することができます。コマツは、KOMTRAXを業界で最も早く、2001年から標準装備し、部品交換のリコメンドや効率的なオペレーションの提案、債権管理、市場の把握による生産計画の最適化などに活用しています。2009年6月末時点で、導入国57カ国、配車台数は合計14万台を数えています。
(2)グレーター・アジア*1 での更なるポジション向上
これには他社に先駆けた商品の市場導入により新たな市場を創り出すこと、および販売代理店の育成・プロダクトサポート体制の一層の強化が重要です。特にグレーター・アジアを中心とした新興国での配車台数が増加していることから、サービスエンジニアの育成が急務となっています。
(3)バリューチェーン*2 全体での事業拡大
部品事業の拡大に加え、建設機械ならびに鉱山機械の周辺分野であるⅰ)サービス・リマン(コンポーネント再生)、ⅱ)リテールファイナンス、ⅲ)レンタル・中古車、ⅳ)ワーキングギア(アタッチメント)・林業機械においても、コマツグループの技術の特長を活かし、事業間の連携により、バリューチェーン全体で事業拡大を目指します。
建設機械・車両部門の売上高に占める部品事業の売上げは、2009年3月期には約17%でしたが、2010年3月期は約19%まで向上させる計画です。オイル、フィルター、油圧ホースなど戦略商品の生産・販売を更に強化していきます。
*2 コマツグループ、販売代理店や協力企業の皆さま、お客さまの事業活動から生み出される価値
(4)フレキシブルな生産体制の確立
(5)ユーティリティ(小型機械)事業の拡大
(7)固定費の低減
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<BM>について
2008 「BM」が永続的な活動の一つとして新登場
2010 新中計のマネジメントにおける重点活動項目として、戦略市場でのTQM活動と並び、「ブランドマネジメント活動の推進」が掲げられた。
お客さまとコマツグループの関係の構築・強化活動を通じて人材育成を図ります。