(講演者1)
QCSは、
品質管理のすそ野を広くするための活動に加えて、
さらに山を高くするために創設された
QCS100年の歴史は
TQM発展の歴史と言っても過言ではない
【QCSにおけるテーマの変遷】
第1期: QCの基本やその時の課題に対する研究
第2期: 多様な分野へのQCの適用
第3期: 成長時代におけるQCの発展的活用法や、より効果的な運用・教育などの研究
第4期: バブル崩壊後の経営課題に対するTQC/TQMの変革と活用に関する模索・研究
第5期: グローバル化に伴う海外企業との競争、海外でのものづくりや品質のあるべき姿の模索
第6期: 企業の成長力、競争力を焦点にしたさまざまな経営ファクターとTQMとの関係
今日、経済の不透明感は増している。
そのなかで、企業は成長ための戦略を常に模索している
成長戦略を支えるTQMの役割は何か。
今回の100回目の契機に
TQMを再認識するとともに、
時代に求められるTQMとは何かを探っていく。
-------------------------------------
(講演者2)
デ賞190社に対し、デ大賞は18社。
この差は何か?
山を高める活動が不十分なのか?
お客様に喜んでもらえる製品・サービスを生み出し、企業経営に今以上に役立つTQMを再構築するなど
再活性化がポイント
BASIC(顧客指向、PDCA、データ、QCストーリーなど)が大事なことは知っている
しかし、いわゆるTQM企業の活性化には、BASICだけでは不十分であり、知的好奇心をかき立てるAdvancedが必要。
大部分は80年代までに提案されたもの
この30年間に新しい提案があった。これらを含めて再構築するのがよいのではないか。
たとえば、自工程完結。
A-TQMの基準
somthing old, something new, something borrowed, something interesting
TQMは、顧客満足の向上にあり、
この結果が、経営に寄与していくことを目指している。
これまでの品質管理は、
品質の失敗による顧客からのクレームとその補償、失敗の拡大防止(出荷停止、リコール等)、今後開発される新製品における類似のクレームの再発を防止する活動に焦点が当てられてきた。
これらの活動の狙いは、品質の失敗による顧客不満の解消にあるが、品質の失敗による顧客不満の解消にあるが、
財務的には、不要なコスト(損失)の低減に向けられており、Quality for Cost(QfC)の活動と言える。
しかし、
グローバルな競争においては、損失を減らすことに食らえて、
魅力的品質の知品を生み出すことによって売上向上に寄与するQuality for Sales(QfS)に向けた品質活動の展開が必要になってくる。
20世紀は、「初めて冷蔵庫を買う」、「初めて車を購入する」など、「初めて」という場合が多かったが
21世紀には、買替購入が圧倒的多数となる。
開発途上国では今世紀においても「依然として初めて購入する」というユーザーが多いが
世界全体としては買替購入が増加していく。
メーカーにとって最大の関心は、自社のユーザーが買替時に自社製品を引き続き買ってくれるか、それとも競合メーカーにスイッチするかという点にある。このような買替購入に焦点を当てた場合、品質の問題は次の3つに分解して考えることができる。
○ 過去品質(Q1) : これまでに顧客が経験した現行製品の品質
○ 現在品質(Q2) : 現行ブランドの新型モデルのフィーチャーと、各社から出されている新型モデルのフィーチャーの比較品質
○ 将来品質(Q3) : ある製品を購入後、予期した条件下/予期しない条件下で、時間経過に対して起こる安全性・信頼性の変化についての期待(確信、心配、不安)
Q1の総合評価
顧客喚起
顧客満足
普通(N)
顧客不満(CDis)
顧客激怒(CR)
管理は
製品別ではなく、顧客別に。
顧客別データベースの構築・活用
品質管理のポイントは、
顧客激怒ゼロを目指すべし。
-------------------------------------
(講演者3)
<デ賞について>
基幹製造業には、90年代までにほぼ定着。
日本の国際競争優位を確立する中核技術としての位置づけをゆるぎないものにした。
しかし、中小製造業への展開は限定的。製造業以外への浸透は、ごく散発的。海外企業の受賞が激増。
日本の成長に貢献するためには、
1)サービス産業、医療、農業など、成長分野への対応
2)中小企業への展開: 日本経済の成長には中小企業の品質・生産性アップが必須条件
3)地方自治体・行政への展開: 長期ビジョン、総合戦略、基本方針に基づくPDCA整備モデル
4)「科学技術基本計画」と品質管理: 未来の産業創造と社会変革に向けた取組み(システム化、超スマート社会など)や、経済・社会的な課題への対応(エネルギー、資源、食糧)に対するTQMの貢献
新たな成長分野に広げるだけでなく
既存の基幹製造業におけるTQMにおいても
工場における品質管理は、事業全体の1/3。流通やアフターサービスを含めた、つまり、工場を出た後の品質にまつわる問題が顕著。それに応えるべきなのではないか
品質管理学会の中長期計画「SHINKA」策定
●新化(new value)
製造業以外にニューリングを広げる。サービス、農業などへのTQM浸透。国・自治体の行政サポート
●深化(deepened value)
もっと力をつけないと、地方行政を指導はできない。先端的管理技術の開発。
●進化(evaluationaly value)
研究者の実践能力の向上、品質誌の改革・分化(研究者向けと実業界向け)
↓
真価(Future value) 日本の成長に貢献する品質管理。
中長期計画SHINKAの策
1、日本の成長に貢献する品質管理: 製造業で築き上げた国際競争力優位を、新しい成長分野・非製造業に展開する
2、統合的な活動:中核3団体のアンブレラ的連合の形成。3団体の緩やかな連合体を形成。
3、特に「産」が中心となり、リードしていく体制。 学会の役割:支援機関として、新メソッド開発などで強力にバックアップ
-------------------------------------
(講演者4)
-------------------------------------
(講演者5)
これからの時代は、良い意味でプロダクトアウトの時代。
日本はビジネスモデルで先行し、現場力の勝負に臨めば、負けない。
なお、ここでいう現場は、生産の現場だけではない。
仕組みに落とし込まないと、行動は変わらない。
例. 最初にバッドニュースを書き、業績を最後に記す「フラッシュレポート」の表現形式の刷新
品質管理の真髄は見える化。
見える化できれば、自信をもって意思決定できる。
たとえば、我が国の農業が伸び悩んでいる原因は、知恵出しを促進する仕組みがないこと。
ファクツファインディングで見える化すれば、
知恵出しをする人が必ず現れる。
これからの時代のTQMは
「目的実現に向けたチームの行動を引き出すための仕組みづくり」
として本領発揮することが期待される。
価値観を実現するには
「行動様式」と「仕組み」が欠かせない。
そして、企業価値とは何ぞや
という問いの答えがなければ、企業の価値観は明示できない。
何が最終ゴールかは、トップが示さなければならない。
-------------------------------------
(講演者6)
CS重視の経営は一貫して世界トップレベル。
しかし、
1) 世界的に見ると、CS重視と線形関係にある「起業家精神」について日本は世界最下位。
2) 8か国中、日本のCS指数は最も低い。特に、女性が厳しい。
↓
顧客指向といいながら供給サイド視点のCS経営になっていないか
〔ニーズ→設計品質→適合品質→顧客価値→顧客満足〕 という好循環になればいいのだが。
一時上昇していたIMDランキングは、再び下降。27位に落ちた。
いまこそ新しい日本モデルへ。
「高機能・高品質製品であれば売れる」というビジネスモデルを転換し、
顧客や社会のニーズと直接つながるものづくりの必要性(ものづくり白書2013)
設計品質とは、「違い」。他とハッキリ区分できる性質。
製品・サービスは、幸福の物語をサポートするための道具 (山田昌弘, 2008)
〔コスト消費(○○できればよい) vs (幸福の)道具消費(○○したい)〕
という商品価値の二極化が進行中。
〔ブランドイメージ再考〕
ブランドイメージは、顧客価値にハロー効果をもたらす。
特に、魅力・個性的イメージが、CSの決定要因
「魅力個性的」がCSの決定要因
〔最大の主張〕
価値ある品質とは
顧客の共創を引き起こすような個性的な品質
〔デミングサイクル〕
ITを武器とした組織(部門横断的チームアプローチ)こそ
いま求められる
〔日本の分化: 「今=ここ」文化〕
目先のリスクに厳しい。一方で、日常を超えたリスクに無頓着。
日本のちゃんとしなさい文化。
→ 不確実性回避 → 低CS。
いまここ文化
部分(いま、ここ)を重視、
それを積み重ねて全体
↓
・部分の内面に向かう性向
細部洗練美学
・全体は後からしかついてこない
・外には手をあえて手を出さない(大勢順応主義)
・未来に対する心象も、あうは
加藤周一
日本文化における時間と空間
岩波書店
2007
コト=アクティビティ
機能→コト→感情→CS
P33
個性的な品質の提供 → 企業イメージの形成 → コトの共創 → CS形成
-------------------------------------
(パネル1) 題目「新・品質の時代を生きる」
かつて、我が国製造業は、工業製品の大衆化による大成長を遂げた。
工業化社会において、競争優位要因は「品質」だった。
しかし、80年代に入り、経済構造と競争優位要因に変化。
環境が変わると、競争優位要因(利益の源泉となる能力)そのものが変わった。
これからの企業は、変化する時代を生きていかなければならない。
変化していることを理解しなければならない。
変化に合わせるには、自分の特徴を理解していなければならない。
持続的成功=顧客に受け入れられる
持続的成功とは、顧客に受け入れられ続けるということ。
そのためには、
〔品質マネジメント = 顧客価値提供マネジメント〕
が非常に重要。
利益は、顧客価値提供マネジメントシステムの妥当性を図る象徴的指標
品質マネジメント (顧客価値提供マネジメント) には、それに先駆けて
「どんな顧客に、どんな価値を、どんな能力で提供するのか」 という
事業シナリオが欠かせない。
QMSとは
価値提供システム
-------------------------------------
(パネル2)
企業が生き延びるとは、
顧客価値を創造し続けること。
これからの品質経営は、
SCMではなく
デマンドチェーンマネジメントとして考えるべき。
SCM的に考えてしまうと、
業務効率化、人を減らし・・・ が、現状のIT活用。
これからのITの役割は、
企業の成長の源泉となるイノベーション誘発の役割
-------------------------------------
(パネル4)
従来のモノづくりは
製品設計と製法設計と材料設計の主体が別個。個々に独立。自前主義。横並び過当競争。階層別(業種間)の分業
真のモノづくり(価値づくり、コトづくり)
各主体が自らの拠って立つ独自の強みを持ち寄って
三者の業種間連携と融合。オープンイノベーション。垂直一体型連携。IoT活用。
日本の品質劣化の背景と原因
・ 製造現場力の弱体化
・ 追いつけ追い越せ時代の・・・・
-------------------------------------
<パネルディスカッション>
● 改善のためのTQMから、イノベーションのためのTQM
IT活用が、オペレーションズマネジメントに留まっている。
イノベーションを誘発するための見える化になっていない。
市場の理解→ニーズ仮説づくりに活かされていない。
ナレッジを得るためのIT活用。
● IoTが品質経営にもたらす新たな可能性
現状把握する範囲が広くなり、精緻化が進んだ。
より精度の高い把握ができるようになった。
IoTによる見える化は、
ビジネスのプロセスを変える(ビジネスモデルを変える)。