IMは組織開発のツール。
コミュニケーションの観点から、組織を繋げる。
IMの具体的な取組は多岐にわたる(全4タイプ)。
IMは、サービス産業から生まれた。
サービス取引は生産と消費の同時性という特質を有するため,従業員と顧客の直接的な人的相互作用(サービス・エンカウンター)が顧客満足を決定する重要な要因になる(Bateson,1979; 1991) (Kotler, 2004 邦訳pp243 HBR)。そのため、当初のIMは、顧客と直接接するサービス業の従業員の動機づけの為の方策として定義づけられていた。従業員が顧客に対して意識的になるよう動機づけ、また、そのような顧客志向の高い人材を獲得することに重きが置かれてきた。
Groroos, 1981
<関連>
サービス・マーケティングでは、社員がその中心に位置づけられる。
なぜなら、彼らがサービスの質を決定し、顧客のサービスの消費を左右するから。
サービスを提供する社員には、高度な知識や技能に加えて、態度や規律の質が問われる。
したがって、従業員を対象とするマーケティングしなければならない。
Kotler, 2004 邦訳pp243 HBR
さらに、
対象は、エンカウンターの従業員だけではない。
顧客との直接的な相互作用を伴わないバックルームにおいても,効果的かつ効率的にサービス・エンカウンターにおける従業員の活動を支援する体制が整っていることが求められる(藤村,1995).このことから,優れたサービスの提供は,サービスが生産されて顧客に提供されるサービス・デリバリー・プロセス全体に関わる組織内のすべての従業員が,顧客の為にサービス・デリバリーを遂行するよう組織的に管理することが重要といえる(森村, 2009).
当初の「従業員の動機づけと満足度向上」から、「顧客志向の実現」、そして、「部門間の統合と戦略の実行」という進化を遂げている。「・・」、「・・・」など、今日のIMは、組織的な有効性の向上や、経営上の計画を計画的に実行するためのプロセスの一つと考えられるようになり、やがて、組織の市場におけるパフォーマンスの為に必要とされる組織内部の活動と捉えられるようになってきた。
【コトラーどうする?】
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【第2ブロック: 環境変化への適応は、外的適応と内的適応の2つある】
企業の優位性は、企業の資産や組織の独自性や能力にあると同時に、自社製品が市場という外部において顧客から他社より優れていると認識されることがなければ持続することはできない。つまり、企業の競争優位性の根源はコンテクストにあり、優位性がポジションにあろうと組織能力にあろうと、優位性は企業を目指す環境と内的コンテクストの双方から生じる。競争優位性を獲得し、維持するためには、自社内の内的コンテクストと外的コンテクストの両者からの検討が不可欠である。競争優位性の確立に向けた企業の環境適応は、自社を取り巻く様々な外部環境の要求に応えながら自分たちを適合させる外部適応と、組織内部の諸機能の要求に応えるために組織に最適な組み合わせを構築していく内部適応に分けられるのである。
==<あまり>==
競争戦略において前者・外部適応はポジショニング・アプローチとして、後者・内部適応はリソース・ベースト・ビュー(組織能力のアプローチ)として区別されており、IMはリソース・ベースト・ビューを展開した一つの反映として捉えられている傾向がある。
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企業が存続し発展していくためには、外部適応と内部適応を図らなければならないことはどの産業も共通しているが、 モノの生産においては、外部適応と内部適応を切り離すことがある程度可能であり、内部適応がきちんとなされていれば、外部適応のタイミングが多少遅れても企業は存続できる。近藤,2004
しかし、サービス分野の場合は、
「生産と消費の同時性」や「顧客との共同作業」といった特性により、
部適応と内部適応はほぼ不可分の状態での対応が求められる。
第100回QCSにおいて、時代の変化に対し、競争優位を生み出す能力を継続して磨く自己変革の必要性が説かれている。
我が国製造業の強みは、内的適応にあったと言われているが、
サービス化を進める製造業は、サービスマネジメントの視点からクルマの両輪のように相互に整合性を取りながら進められなければならない(近藤,2004)。サービス・ビジネスの分野においては、外部適応と内部適応は切り離されて別個に管理されるべきではなく、密接に関係づけられた関係にあるのだ。
カテゴリ・イノベーションを目指す製造業においては、これまでの内部適応重視の組織マネジメントを改め、外的適応と内的適応の両視点からの継続的な組織学習によって、競争優位を築く組織能力を磨き続ける自己革新に取組む必要がある。
「次工程はお客様」という考え方や、自工程完結は、組織内部における「顧客」と「供給者」の関係に着目したものでありIMそのものといえるが、IM全体からみたそれは、現状の組織内の部門間連携を改善する「プロセッショナルIM(第3象限)」に相当する。その取組のスコープは、長期展望に立った環境変化への戦略的な適応というよりは、短期的な視点から効率的に改善する戦術的な取組とみなされている(木村)。
プロセッショナルIMが組織内部の需要者-供給者である従業員の不満足の低減と交わす情報の質の向上を第一義的な目的としていることと比較して、
近年のIMで重要視されている「インターナル・リレーションシップ・マネジメント(第1象限)は、最終顧客との長期的な関係性構築を目指して、最終顧客の満足度の向上を組織の目標とした上で、組織としての新たな知識の創造と伝達の統合を目的として行われる。スタッフの自立性とノウハウを統合しようとする関係性構築のプロセスを重視する(Ballantyne(1997)。顧客志向が徹底された各部門が、長期的展望に立ち、外的適応と内的適応を図る取組と言えよう。
そのプロセスの中では、従業員の自律性とノウハウが合わさって、市場の変化に対応するために組織内に変革をもたらす活動を鼓舞する、新たな組織的知識が創造され伝えられる。
Ballantyne, 1997
この活動の目的は、エクスターナル・マーケティングの質を高めることである。
Ballantyne, 2000
従業員の間で内的コミュニケーションと顧客としての自覚を促進する活動であり、その活動と外的市場パフォーマンスとを結びつけるものである
Hogg, Carter and Dunne, 1998
インターナル・マーケティングとは、
組織がその目標を中長期的に達成することを目的として実施する内部組織の協働のための一連のプロセスあるいはコミュニケーションの活動である。木村
Normannが提案するモデル上での5要素を外部適応要因と内部適応要因の観点から見た場合、マーケット・セグメントとサービス・コンセプトは外部適応要因であり、人材、個客、技術からなるサービス・デリバリー・システムと組織文化と理念は、内部適応要因である。
そして、イメージは双方によって必要となる適応活動である。
以上、顧客と直接接するサービス業の従業員の動機づけの為の方策として当初は定義づけられていたIMは、次第に組織的な有効性の向上や、経営上の計画を計画的に実行するためのプロセスの一つと考えられるようになり、やがて、組織の市場におけるパフォーマンスの為に必要とされる組織内部の活動と捉えられるようになってきた。90年代以降、インターナル・マーケティングに求められる役割は、顧客との接点(フロントライン)にいる従業員に対する組織からの働きかけという活動に留まらず、その組織が市場で高い成果を実現するための一連の組織内活動と位置付けられるようになった。
IMの最大の特徴は、従業員を「内部顧客」として捉え、そして、仕事をこうした内部顧客のニーズを満たす「内部製品」とみなす(Berry, 1984)。
当初のIMにおいて、マネジャーは内部顧客としての従業員の仕事を価値ある仕事として構築し,それを内部製品として捉えて従業員の満足を向上させることによって、適任の従業員を引きつけ、育成し、動かし、留めておくことに重きが置かれてきた(Berry, 1981; Berry and Parasuraman, 1991)。
今日では、第1象限の重要性を受けて、今日では内部製品の繋がりを可視化することによって、対話の促進、連携の向上。
しかし、事業を構成する主要な内部製品が組織横断的に表現した組織能力向上は前例がない。まして、CI志向企業のIM事例は存在しない。
コミュニケーションを活性化するために組織全体で共有すべき情報の全体像(項目立て)は明らかにする。
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【以下、行き場所が不明。移動先は、第1章か?】
これまでも、企業のあらゆる部門が顧客への価値提供のために協力し合うことが求められる。Beckham,1992
CS経営、TQMの基本原則もしかり。
顧客志向の実践に長けた企業はすべからく顧客に焦点を当て、その組織はさまざまに変化する顧客ニーズに対して適切かつ効果的に対応できるように設計されている。こうした企業では、研究開発や生産、財務、人事、購買部門など社内のすべての部門が顧客こそ第1というコンセプトのもとで働いている。
しかし、実際には大半の企業が実践上の課題を抱えている。部門間の利害は決して同一ではなく、仕事を進める上での姿勢や考え方、従業員の特性など多くの点で異なっているために、コーディネーション上の多くの問題が発生している。
インターナル・マーケティングが重視することは、
すべての部門が顧客志向の発想を持つように働きかけ、
組織全体の統合を図るようコーディネーションを行うことである。
インターナル・マーケティングは、内的組織の境界線を横切って従業員間の関係を発展させるための関係構築のプロセスである。
--【以下、情報収集中に自分で書いたメモ】--
これをわざわざIMと呼ぶ必要性があるのだろうか?
我が国では製造業を中心に、方針管理が広く浸透している。「方針管理と何が違うのか」、「IMは方針管理にどう貢献できるのか」を示せないかぎり、すでに方針管理を導入している企業にIMは魅力的ではない。
一方、現状の方針管理の問題点として
・ ヨコの連携が取れていないこと
・ 最上位方針が「事業全体を通じて顧客の何を達成するか」という視点からの設定ではなく、財務的目標値の設定に留まる傾向が強いこと
・ 各部門の既存の管理点に再考を促す仕組みが存在しないこと。つまり、各部門は既存の管理点の達成水準向上に直走ることになりかねないこと。さらに換言すると、パフォーマンス次元の転換を各部門長に意識的にさせることにはなっていないこと。
なるほど。ということは、「IMとは、内的適応を図るための部門間協調促進の方法論」としての位置づけがいい。TQMの中核に、方針管理とQCサークルが挙げられるが、前者は上述のとおり「ヨコの繋がりづくり」に問題がある。一方、後者のQCサークルは特定工程の改善活動に留まっており、「全体プロセスを全体感あるまま改善する取組み」にはなっていない。ここにIMのチャンスが大きいと思う。
だとすればなおさら、
現状のIMは「個人」に焦点を当てているのか、「部門」に焦点を当てているのか曖昧。おそらく両方を視野に入れている。これがIMの分かりにくさの一因になっている。
リソース・ベースト・ビュー→インターナル・マーケティング→タレント・マネジメント
という繋がりがありそう。