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Channel: ひょんなことから国立大学助教授になった加藤雄一郎の奮闘記
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先週末、年表を作ってみました。そしたら、自分に大きな変化が起きていたことに気づきました。

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先日の野中先生のご講演で
一番印象に残っているのは「相互主観性による、組織知の創造」です。

この週末、
ふと思いついて、
自分の年表を作ってみました。
なんで急に作ってみたくなったのか、理由がよくわかりません

すると、
自分がある時を境にそれまでとまったく異なるやり方を始めていたことに気づきました。それは、

「依頼主に自ら考えてもらって問題を解く」というやり方です。

ん?それはつまり、
クライアントにお金もらって
自分で考えてもらうってこと??

言い方を変えると
こりゃとんでもないっすね。
ひでえ外注先だ。かなわんな。。

それまでは、
依頼主企業から解きたい問題を伺い、その問題をお預かりして、一定の時間をいただいて私は自分の頭で問題を解き、最後に「答えは、これではないでしょうか?」と提案していました。

クライアントがオリエンし、
広告会社は提案する。
1995年の入社以来、12年間にわたってそのやり方でした。

転機は、
2005年の某ヘアサロンのブランドプロポジションを作った時。

あの案件では、
とにかくサロンのたくさんのスタッフの言葉に耳を傾けました。理由は、、、かれこれ10年以上も髪は自分で切っていて、床屋さんにもヘアサロンにも行かない私がヘアサロンのブランドコンセプト開発を請け負ってしまったため、自分の感覚では良いコンセプトを到底作れそうになかったからです。ほんと、情けない理由です。すみません

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生まれて初めてヘアサロンに行ったとき、「どんな風にしますか?」と訊かれ、「こんな感じにしてください」と真田広之の写真を見せたら、プッと笑われたことがトラウマになってるんです
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というわけで
ヘアサロンに行けなくなった私がなんとヘアサロンのコンセプトを作るという無茶苦茶な案件だったため、苦肉の策で聞いて回ったのですが、

ところがどっこい、このやり方がこの案件では功を奏しました。

栄店、原宿店、南青山店など、
とにかくお店を回って、たくさんのスタッフの方と話をしました。各人が何を思い、何を願い、仕事に向き合っているのか。いま思えば、それはありったけたくさんの「主観」を集めたといえるのだろうと思います。

それらをもとに味付けをしてコンセプトにしました。むろん、味付けをしていますが、味付けしたとはいえ、素材はみんなの主観なんです。プレゼンのとき、「みなさんからいただいた言葉で作ってみました」と申し上げました。コンセプトをみていただいた時のみなさんの表情は、いまでも印象に残っています。なんというかな、、、「箱を開けてプレゼントの中身を見た子供が、わーっ!と喜んだ時のような感じ」といえばいいのかな。うまくいえませんが、「とてもしっくりきます!こんなふうに仕上がって新鮮です」と言ってもらえた時、私もほんとに嬉しかった。

多少、曲解をしている恐れがありますが、もしかしたらあれは、各人の主観をもとに私が相互主観性をサポートしたといえるのではないか。相互主観性をもとに生成された組織知を、コンセプトとして表したといえるのではないか。みんなの主観を大事にすると、こんなに喜んでもらえるものなのか!?当時の私はそこまで顕在的に認識してませんでしたが、主観を大切にすることこ重要性を暗黙知として身体化したのかもしれません。

だから、
2007年のK社BMを皮切りに、すべての受託案件はプロジェクト形式をとり、プロジェクトメンバー間のディスカッションを通じて、みんなで問題を解くようにしているのかもしれません。

そして、10年が経過した今年、
ついに「組織開発ステップ」として手続きが姿を現しました。とーーっても嬉しいです

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そうそう、
歴代のBMリーダーのお一人が大変興味深いことを仰っていました。「加藤先生、私はね、200時間ルールというものがあるんじゃないかなと思ってるんです。最初のうちは、各人が自分がその議題についてどういう考えをもっているのかすらわからない状態なので議論にならない。しかし、議論を重ねていくうちに、自分が何を考えているのかわかってくる。そして、ほかのメンバーが何を考えているのかもわかってくる。そして、ディスカッションの累積時間が200時間を超えたあたりから、ものすごい創発が起こり始める。私がリーダーを務めた4年間、年度の初めに新メンバーを迎えましたが、毎年 この200時間ルールが当てはまる。非常におもしろい!」と仰っていました。

K社BMでは合宿を重視していましたが、これは思いつきの措置ではなく、一年単位でメンバーが入れ替わる仕組みのなかで、相互主観性を促すべく必要な時間を確保しようとしたからこその措置なのだろうと思います。

そう考えると、
いまのN社プロジェクトは、
議論の時間が足りないです
みな忙しいから仕方ないんだけど、んー、でもなあ、、、合宿やりたいなー。合宿、楽しいんだけどなぁ~。うーん。。。

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先日、突然にお電話をいただき、
ある案件のコーポレートブランディング依頼をほのめかされたのですが、やんわりとお断りしました。

「最近の私は、ご提示いただいた問題を依頼主に自ら考えていただく質問屋に徹してます。プロジェクトメンバー同士のやり取りを深く観察して端緒を見つけ、それをみなさんに見せて考えを膨らまし、みんなで答えを出すことを重視しています。ご依頼を受けるとなりますと、プロジェクト形式で相応しいメンバーを集めていただくことになりますが、それは可能ですか?」と伺うと、

「え?そんなに手間がかかるの?メンバーの工数はどれくらいかかるの?こちらからオリエンするから、そっちで考えて提案してほしい」とのこと。

そう仰っるのがむしろ普通だとは思います。過去は私自身が提案とはそういうものだと思ってましたし。

いまはまだ、語彙が足りなくてうまく言えないのですが、

そうじゃないんです。違う。

自分の道は
自分で決める方が楽しいに決まってる。
自分で考え、自分で決める。

私はそのサポートする。

サポートの中身は、
質問屋と端緒抽出屋。この二つの行ったり来たり。

いまなお学習中で、間違いなく死ぬまで学習してそうですが、

私の強みは、「質問屋と端緒抽出屋という二つの行き来を通じて何をどう表すか?」に関するフレームワークを多種多様に持っていること、だと思ってます。まだまだ精緻化して整備していく必要はありますが、結構いいオリジナルのフレームワークを持ってると思ってるんだー(^O^)えへへ

落としどころの骨組み(枠組み)をわかってるから、メンバー間で行き交う情報を目利きできる。反応できる。これが自分のコア・ケイパビリティだ!と言えるよう、もっともっと学習しなきゃ

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そういえば、
加藤研究室ウェブサイトはここ数年、まったく手を加えておらず、なんの情報も更新してないのですが、

研究室を作った2003年当初に打ち立てた「機会発見プロフェッショナルとして、ものづくり立国日本に貢献する」というのは、最近のブログ投稿をもとに位置付けを再考すると、

「共通善」ですね。

共通善という言葉の意味に即して内容表現を適切化すれば、「これからの時代の製造業が生きる道の確立」のほうがいいかも。

そして、
事業の戦略的ポジショニング(あ、事業ではないから、「研究室の戦略的ポジショニング」ですね)は、

「事業発展のための組織知創造のサポート」。字面は加筆修正されても、言わんとすることはこれで決まりだと思う。2年前は「事業発展のサポート」と言っていましたが、「事業発展」は結果であって、Doニーズになっていない。正しくは、「知識(アイデア)を創造したい」というDoのサポートなんだと思う。そりゃ何のために?という問いの答えを、不定詞目的格に持ってきたという修正です。

最後に、組織能力(OC: Organization Capability)は、「発見の喜びに満ち溢れた相互主観性の活用」。

もっと格段にわかりやすい言い方に仕上げにゃならんですが、この「共通善」と「ポジショニング」と「組織能力」は、自分自身かなりしっくりきてます。

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