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Channel: ひょんなことから国立大学助教授になった加藤雄一郎の奮闘記
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事業領域区分の設定方法はもっと洗練化したほうがいい

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ただいまシンポジウム参加中です。
講演を聞きながら、メモを増やしていこうと思います。

今回、私は「ソリューションビジネスの構築」の班に入っています。

かねてから、事業部制にはあまり好意的な印象を持っておらず、
また、事業区分設定にも洗練化の余地が大いにあると思っているのですが

家電」、「住宅」、「車載」、「B2Bソリューション」、「デバイス」
という、某社の事業領域区分は
企業側による財区分であって、
顧客側からみた「ソリューション内容」にはなっていない。

「B2Bソリューション」と漠と書くのではなく、
そのソリューションの中身こそ、事業区分名称として記さなくていいのだろうか?

企業目線だし、
さらには、表現レベルが揃ってない。

これで
製品・サービスの融合によって「売れ続ける仕組みづくり」に向かうようには思えない。

-----------------------

「ハードとソフトの融合」
「バリューチェーンビジネスの強化」
「サービス・イノベーション」
「製造業のサービス化」
「アフターマーケットビジネスの強化」
・・・ どの言い方も基本的に目指していることは同じような感じだと思っています。

こういう狙いのもとで
事業部制を敷くなら
事業部名称は、「サービス名称」にすべきと思う。


サービス・ドミナント・ロジックにおいて、
サービスとは、
「他者あるいは自身のベネフィットのために、行為(deeds)、プロセス(processes)、パフォーマンス(peformances)を通じて、専門化されたコンピタンス(ナレッジやスキルといったオペラント資源)を適用すること」 (Vargo and Lusch,2004)

ん? むむむ??
ちょ、ちょっと待てよ。
いま急にひらめいたんですけど、

要するに、
(1) 誰の、どのようなベネフィットを実現すべく
(2) どのようなスキルやナレッジを、どのように適用するのか
ということか!?

これって、
前者がSP(Strategic Positioning)で
後者がOC(Organizational Capability)じゃんか!!?

おいおい。。。
S-Dロジックと、競争戦略って
どえらいピタっとくっつくんですね。ビックリです。

さらにもう一つ
さきほど、大きな気づきがありました。

いまも講演拝聴中のため
のちほど書きます。


以下、講演を聞きながら、自分の考えを再構築するために、
関連する必要情報を丹羽君に求めたものが以下のとおりです。


丹羽!
S-Dロジックにおける
「サービス」の正確な定義を教えてくれ!

以下が、S-Dロジックにおける“単数形”のサービスの定義になります。
「他者あるいは自身のベネフィットのために、行為(deeds)、プロセス(processes)、パフォーマンス(peformances)を通じて、
専門化されたコンピタンス(ナレッジやスキルといったオペラント資源)を適用すること」 (Vargo and Lusch,2004)

「他者あるいは自身のベネフィットのために、」という箇所で、
ここでいうベネフィットとは、何?
S-Dロジックにおけるベネフィットの定義は?
そこで文脈価値という術語を使わないで!

明確な記述がないのですが、関連する記述として、
・顧客の消費プロセスの過程で獲得できるもの
・そこでいうベネフィットは機能的ベネフィットではなく、快楽的ベネフィットや自己顕示的なベネフィット
・S-Dロジックにおいては、機能的ベネフィットを提供するものではなく、より高次なニーズを充足するための手段あるいはプラットフォーム
といった記述があります。

消費?? 消費なんですか?
「経験」という言葉は登場しえますか?
「獲得できるもの」と書いてありますが、もの??「獲得できること」じゃなくて?

----
1,消費プロセスについて
S-Dでは、顧客とサービス提供者(企業)との間での相互関係や協働活動を通じて互いがサービスを供給することを消費プロセスという表現をしているため、

一般的な製品をただ「消費」するプロセスとは異なります。

2,経験
より高次なニーズのことを所有、誇示、経験
と述べております。

以上を踏まえると、
ベネフィットは
「顧客と企業との相互関係のプロセスの中で獲得できる経験」
といえるかと思います。

「顧客の消費プロセスの過程で獲得できるもの」については、
「文脈価値とは、顧客とサービス供給者の間での相互関係や協働活動を通じて互いがサービスを供給し、その顧客の消費プロセスの過程で獲得できるベネフィットについて、その顧客自身によって知覚される知覚価値」
という表記から引用致しました。
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さて、
話を元に戻しますと、

ハードとソフトの融合により売れ続ける仕組みづくりを目指して
ソリューションビジネスを展開しようという場合、

事業部名称(あるいは、ビジネスユニット名称)は
「サービス内容」 を書くべきと思う。

間違っても
自社が出かける財の名称や総称を掲げてはならないと思う。
そんなことしたら、
その事業部はあくまでその財の販売量最大化を目指すわけだから、
ハード単品ビジネスから脱却できるはずがない。
さらにいえば、そのようなミッションを課された組織が
顧客シェア発想になるはずがない。
サービスはいつまでたっても、付帯サービスでしかない。
ソリューションビジネスなんて、ありえない。




S-Dロジックにおいて「サービス」とは、
「他者あるいは自身のベネフィットのために、行為(deeds)、プロセス(processes)、パフォーマンス(peformances)を通じて、専門化されたコンピタンス(ナレッジやスキルといったオペラント資源)を適用すること」 (Vargo and Lusch,2004)

「ベネフィット」とは、
・顧客の消費プロセスの過程で獲得できるもの
・顧客と企業との相互関係のプロセスの中で獲得できる経験

ん??

いや、ちと待て!
事業部名は「サービス内容」じゃない

罷業部名は
「当該事業と顧客との相互関係のプロセスを通じて顧客が獲得できるベネフィット」ですね!

これをいかに
的確に言い当てた表現ができるかによって
その傘にぶら下がる「製品およびサービス」のバリエーションの幅広さが変わる。

ベネフィットを
狭義の使用価値で表現したら
その事業部が手掛ける財は、特定少数の製品ハードに留まる。

一方、
大きすぎると、
具体的にどのような製品・サービスが傘下にぶら下がるのかわからなくなる。
あるいは、何をぶら下げても適否の判断ができない。全部、該当するように見えてしまうから。
これはこれで、ものすごい不具合。

いかに的確に
「当該事業と顧客との相互関係のプロセスを通じて顧客が獲得できるベネフィット」を定めるか。

これって
まさに、何屋規定だよね。きっと。



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