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Channel: ひょんなことから国立大学助教授になった加藤雄一郎の奮闘記
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その場の推論に必要な想定をいかに構成するか

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メアリーに必要なのは、必要なときにピーターがその建物を教会と同定できるという理に叶った確信。言い換えれば、適切な時点である想定がピーターの認知環境の中で顕在的であるという理に叶った確信だけ。

メアリーが期待するのは、自分の発話に誘発されて、それまで忘れていた本の一部をピーターに思い起こさせ、この言及を理解するのに必要な想定を構成すること。

どちらの例でも、メアリーはピーターにとってどんな想定が顕在的であるか、またはどんな想定が顕在的になり得るかについて想定を立てる。

ピーターは、メアリーの発話を理解するのに役立つ、教会や「感覚と感受性」について自分が自然発生的に構成した想定がメアリーが自分に構成するよう期待したものであると信じる。伝達が成功するためには、メアリーにはピーターの認知環境に関する知識が必要。伝達が成功した結果、2人の相互環境は拡大する。


appleに必要なのは、必要なときに顧客がその提案を自分の生活に取り込むに相応しいと同定できるという理に叶った確信。言い換えれば、適切な時点である想定が顧客の認知環境の中で顕在的であるという理に叶った確信だけ。

appleが期待するのは、自分の発話に誘発されて、それまで顕在的でなかった当該文脈価値に注意を向けさせ、この提案の是非を判断するのに必要な想定を構成すること。

どちらの例でも、appleは顧客にとってどんな想定が顕在的であるか、またはどんな想定が顕在的になり得るかについて想定を立てる。

顧客は、appleの提案を価値判断するのに役立つ、文脈価値の内容について自分が自然発生的に構成した想定がappleが自分に構成するよう期待したものであると信じる。伝達が成功するためには、appleには顧客の認知環境に関する知識が必要。伝達が成功した結果、両者の相互環境は拡大する。

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相互認知環境が伝達と理解に必要な情報すべてを直接提供する
認知環境そのものは、個人が心的に表示し、真として受け入れることのできる想定の集合にすぎない。
問題は、この想定のなかで個人が実際に引き出すのはどれかということ。
この問題は心理学者だけでなく、普通の伝達者すべてにとって関心がある。
我々は伝達する際の伝達者の意図は聞き手の認知環境を変えると論じるつもりである。
聞き手の実際の思考過程がその結果影響を受けることはもちろん予想される。
次節では、人間の認知は関連性志向であり、その結果、一個人の認知環境を知っていればその人がどのような想定を思い抱きそうか推論できることを論じようと思う。

→ 「相互認知環境は、双方で共有された意図に」顧客は、appleの提案を価値判断するのに役立つ、文脈価値の内容について自分が自然発生的に構成した想定がappleが自分に構成するよう期待したものであると信じる。伝達が成功するためには、appleには顧客の認知環境に関する知識が必要。伝達が成功した結果、両者の相互環境は拡大する。

P55
個人の認知環境は、当人が利用可能な想定の集合体。
この想定のうち、実際には一体どれを構成して処理する可能性が高いのだろうか。

人間は効率的な情報処理装置である。
次節では、人間の認知は関連性志向であり、その結果、一個人の認知環境を知っていればその人がどのような想定を思い抱きそうか推論できることを論じようと思う。

→ 「相互認知環境は、双方で共有された意図に」顧客は、appleの提案を価値判断するのに役立

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