【1】
インターナル・マーケティングの目的は、
動機づけることであり、顧客に対し意識的な人材を得ることである
Groroos, 1981
組織の目的に注意を向ける一方で、従業員を内部顧客とみなすこと。仕事をこうした内部顧客のニーズを満たす内部製品とみなす。
Berry, 1984
インターナル・マーケティングとは、
従業員を顧客として扱う哲学である。そして、それは仕事の成果を人間のニーズに合うよう形作る戦略である。従業員のニーズを満たす仕事の産物を通して適任の従業員を引きつけ、育成し、動かし、留めておくことである。
Berry and Parasuraman, 1991
インターナル・マーケティングは、
従業員に会社の哲学や信条における変化を受け入れる気にさせる一つのプロセスである
Reardon and Enis, 1990
---【メモ】---
最後のReardonは方法論のことを言っていて腑に落ちませんが、
上記は全体として、要するに「職務満足」に主眼が置かれたIM定義。
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【2】
顧客に焦点を当てた組織を発達させる重要な活動。
インターナル・マーケティングの根本的な目的は、内的そして外的な顧客意識を高め、組織的な有効性の為に機能上の障害を取り除くことである。
Christopher, Payne and Ballantyne, 1991
インターナル・マーケティングは、
変化に対する組織的抵抗に打ち勝ち、集団的機能的戦略の効果的な実行に向けて従業員を協力さえ、動かし、まとめるための計画された努力
Rafiq and Ahmed, 1993
目的追求型の社会プロセスである、マクロ環境(社会)とミクロ環境(組織を構成するコミュニティ)に応じた戦略的な組織上のすばやい変化を継続的に生み出すための概念システムである
Varey and Lewis, 1991
---【メモ】---
Rafiqらが言う「集団的機能的戦略」は、事業の戦略的ポジショニング(SP)のことだと思う。Rafiqらの主張は、「企業が自ら定めた外的適応方針をふまえ、それを組織内部のオペレーションに落とし込んで内的適合すること」といえるのではないか? また、Vareyらが言う「追求する目的」も、SPに相当するといえるのではないか?
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インターナル・マーケティングとは、
環境の変化に対する効果的反応や新しく立案された経営上の計画を効率的に採用する柔軟性や、日常業務における絶え間ない向上を確実にするひとつのプロセスであり、メカニズムである。インターナル・マーケティングは組織が環境上の変化に対して対応し、その能力を継続的に高めるよう支援すること
Varey, 1995
インターナル・マーケティングは、
市場における業績を向上させることを目的として、
従業員の関心を組織内部の活動に向けさせる、組織内部のマーケティングのあらゆる形態のことである。
Ballantyne, Christopher and Payne, 1995
---【メモ】---
これをわざわざIMと呼ぶ必要性があるのだろうか?
我が国では製造業を中心に、方針管理が広く浸透している。「方針管理と何が違うのか」、「IMは方針管理にどう貢献できるのか」を示せないかぎり、すでに方針管理を導入している企業にIMは魅力的ではない。
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---【メモ】---
一方、現状の方針管理の問題点として
・ ヨコの連携が取れていないこと
・ 最上位方針が「事業全体を通じて顧客の何を達成するか」という視点からの設定ではなく、財務的目標値の設定に留まる傾向が強いこと
・ 各部門の既存の管理点に再考を促す仕組みが存在しないこと。つまり、各部門は既存の管理点の達成水準向上に直走ることになりかねないこと。さらに換言すると、パフォーマンス次元の転換を各部門長に意識的にさせることにはなっていないこと。
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【3】
インターナル・マーケティングは、関係構築のプロセスである。
そのプロセスの中では、従業員の自律性とノウハウが合わさって、市場の変化に対応するために組織内に変革をもたらす活動を鼓舞する、新たな組織的知識が創造され伝えられる。
Ballantyne, 1997
従業員の間で内的コミュニケーションと顧客としての自覚を促進する活動であり、その活動と外的市場パフォーマンスとを結びつけるものである
Hogg, Carter and Dunne, 1998
内的組織の境界線を横切って従業員間の関係を発展させるための戦略である。また、知識を生み出すプロセスを利用する際に、従業員の自律性とノウハウが結合し、変えられる必要のあるあらゆる内的活動に挑戦するためになされる。この活動の目的は、エクスターナル・マーケティングの質を高めることである。
Ballantyne, 2000
---【メモ】---
なるほど。ということは、「IMとは、内的適応を図るための部門間協調促進の方法論」としての位置づけがいい。TQMの中核に、方針管理とQCサークルが挙げられるが、前者は上述のとおり「ヨコの繋がりづくり」に問題がある。一方、後者のQCサークルは特定工程の改善活動に留まっており、「全体プロセスを全体感あるまま改善する取組み」にはなっていない。ここにIMのチャンスが大きいと思う。
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---【メモ】---
だとすればなおさら、
現状のIMは「個人」に焦点を当てているのか、「部門」に焦点を当てているのか曖昧。おそらく両方を視野に入れている。これがIMの分かりにくさの一因になっている。
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