顧客との価値共創の過程では、その過程では、価値実現の手段として必要な製品・サービスが提供される。顧客はこれらに対して自らの知識・スキルを適用して価値実現を図る。価値実現の試みを繰り返すうちに、顧客の知識・スキルは熟達していく。顧客の知識・スキルの熟達に合わせて、新たな製品・サービスが提供される。このように考えると、ある時点で提供される製品・サービスは、その時点では最良の価値実現手段として提供されるが、顧客との試行の繰り返しを通じて、次第に最良ではなくなっていく。その後に提供される製品・サービスに取って代わられる。iPhoneやiPadの登場によって、過去は最良な手段だと考えられていたiPodがその座を失うということは当然の成り行きと言えよう。こうして考えると、ある時点での製品・サービスは、意図の成就という観点から見ると、常に過渡的な手段に過ぎず、製品・サービスは常に半製品に過ぎないと考えることができよう。
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