「行動定着型研修のすすめ: やりっぱなし研修の撲滅」
<研修の今までとこれから>
研修は、
意欲を高める時代から
効果を証明する時代に入った。
企業からベンダーに対する問い合わせは
「どういう研修があるの?」という現状から
「研修の結果、どういう行動を取らせればいいか?」に転換するだろう。
つまり、行動変容をコミットする研修へ転換する。
いままでの研修は、中心が「研修所」。
これからの研修は、中心が「職場」。
日々の行動実践! 行動定着を支援する仕組みが求められる。
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<カーク・パトリックの4段階評価>
レベル1:Reaction(満足度)なるほど!
レベル2:Learning(理解度)わかった!理解できた!
レベル3:Behavior(行動変容)できた!変わった!
レベル4:Results(標石貢献度)役に立った!有能感
研修効果として「職場で行動しているか(レベル3)」が問われている。
いままでの集合研修は「知識や学びを得る場」だった。
これからの集合研修は「職場での行動実践をコミットメントする場」となっている
*注*
よくありがちな研修に、
終了直前の好印象が原因で評価がグーンと上がる現象が散見される。
これを「評価エラー」という。
これからの時代の研修は、
研修は職場行動変容の「第1歩」のはずなのだが、
評価エラー研修の場合、研修は第1歩ではなく「ファイナル」
当然のことならが、行動変容は起きない。
また、手っ取り早く研修CSを上げる方法は
受講生に山ほどしゃべらせること。
つまり、〔発話量∝満足度〕
したがって、研修CSが高いからといって、
レベル3・4に繋がるとは限らない。パトリックのモデルは線形ではない。
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<やりっぱなし研修の原因>
研修前(準備および選定の問題)
・ 研修ニーズの把握が弱い
・ 受講者の上司の巻き込みがない
・ 受講者の動機づけが弱い ← 集合研修の場に一人でもやる気がない者がいれば、その研修はバグ
研修当日(メソッドの問題)
・ 行動に結びつかない目標設定
例.「職場の活性化」「リーダーシップの発揮」など抽象表現
・ 学び合いに終わる。チーム一丸で何かやるに活用されていない。
研修後(行動定着の問題)
・ その後の行動変容が支援されていない
・ 何を効果測定したらよいかわからない
・ 実践する場がない
・ 当日のチームが研修後に何かやる機会がない。経験が活用されない。
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<成長実感の科学>
受講者のやる気を高める方法としてARKSモデルがある。byケラー?
やりがいは、
業務との関連。
他とのつながりを見出すことではないか。
自らの仕事を「点」のまま閉じさせない。
「点」から「線」に変える。「点」が「線」になる。
「広がり」
===<メモ>===
<WG継続による組織浸透ステップ>
他者推奨
↑
職場の未受講者の球旧態依然っぷりに愕然。職場不満足(*3)
↑
共通の思考回路の獲得(*2)
↑
選ばれたことの優越感(*1)
*1
部門長から本WGへの期待を伝達してもらう。
発信者は経営トップが理想。
受講者の所属部門を巻き込むことは重要だが
だからといって、事業創造人財育成研修の場合は
受講者の上司に「受講後、どのような行動をとらせたいですか?」という質問は無意味。
上司は答えられない。
*2
いっそ、WSグループ分けを
日ごろの業務で顔を合わせる機会が多い部門混合チームにしてしまえば、
研修後も共有した思考回路を業務適用できるのではないか?
(J社が好例)
*3
受講経験者から未受講者への参加を働きかけてもらうことで最終的に組織全体に浸透していくことを考えれば、短期的な職場不満足はむしろ良し。
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<OJTを成功させる秘訣>
× 制度に人を合わせる
○ 人に制度を合わせる
↓↓↓
<IMの視点を加味すると>
サービス・デリバリ・プロセスに人を合わせ
人に制度を合わせる
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<社員に求められるスキルの種類>
〔ハードスキル〕
熱力学やC言語など、
専門知識などの体系化された知識を使いこなす能力
〔ソフトスキル〕
効果的なコミュニケーション
創造力、分析力、柔軟性
問題解決力、チームビルディング、傾聴力などの
他者と触れ合う際に影響を与える一連の能力
(米国政府機関の定義)
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チームビルディングとは
顧客価値創造の業務のつながりづくり。
ところで「概念化(コンセプチュアル・スキル)」は要らんの??
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<ソフトスキルが求められる背景>
1.グローバル化の進展
2.IT化の進展(効率化)
3.顧客の多様化
4.商品ライフサイクルの短期化
5.技術・ノウハウのコモディティ化
6.業務の非定型化
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「業務の非定型化」は、
「業務連携の非定型化の進展」がいいなあ。
IT化の効用について
「効率化」に偏った言い方は違う。
IoTは、既に在る事柄の効率化だけでなく、
それ以上に、「今は無い新たな事柄」の創出を可能にするにもっと注意を払うべき。
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<事業創造時代のソフトスキル>
1.コンセプト設計
2.仕組み化(コンセプトの具現化)
3.仕組みの持続的改善
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<新人世代の時代背景>
・ 失われた20年
・ 終身雇用の崩壊
・ 年功制から成果主義・能力主義の人事制度へ
・ 給与の減少
・ ゆとり教育と個の重視
・ ワークライフバランスの風潮
・ 仕事の多様化・複雑化
・ デジタルネイティブ
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<新人世代の特徴>
・ 売り手市場を背景に志望通り就職でき、やる気に満ちている
・ 男性は管理職不人気。相対的に「管理職より専門職」傾向
・ 「楽しく仕事をしていたい」「定時に帰りたい」層が増加
・ 「リーダーシップ上司」は人気下降。「優しく、相談できる上司」を求める
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<新人世代側の課題>
・ 社会人基礎知識(常識)の低下(教わった経験が少ない)
・ 失敗を恐れ、既知の範囲内で行動(不安・厳しさを回避)
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<育成する側の課題>
・ 時間がない
・ 教える側の力量・意識
・ 育成される側の意識
・ 離職で育成投資できず
・ 人材育成予算不足
・ 投資対効果が実感できず
*今のままだとOJTは機能しない*
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<人の成長は、経験に起因する>
70% 仕事の直接経験
20% 先輩・上司からの助言(経験の質を高めるための助言)
10% 研修・書籍
成長 = 経験 + 習慣
経験: 仕事経験。どんな経験を積ませるか。
習慣: 成長習慣。人は習慣によって変わる。
習慣化プロセス
1.適切な課題設定
↓
2.少し背伸びした目標
↓
3.必要な改善策
↓
4.仕事の実践・経験
↓
5.内省
↓
6.正しい自己認識
そのような仕事を経験させるか
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<人の成長は何によってもたらされるか(2)>
〔経験〕+〔習慣〕
経験
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<新人世代への課題の出し方>
これまで: まずは経験させる → 振り返りさせる(学ぶ)
これから: まずは教える → 経験させる → 振り返りさせる
*過去のままのやり方だと新人は育たない*
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<経験マネジメントと習慣化マネジメント>
〔経験前〕基礎知識の徹底学習: 知識学習、学ぶ習慣づけ
↓
〔経 験〕仕事を与えチャレンジする経験を得る: 業務支援・内省支援・自律性支援
↓
〔習慣化〕習慣化の意識づけ。指導: 習慣化への意識・仕組み化
*いかに経験をマネジメントするか?
*いかに習慣化するか?
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<1.若手育成のポイントは「経験」のマネジメント(任せ方2.0)>
① 社員に「背伸び仕事経験」を意図的に積ませ
② 振り返りを通じて、仕事のノウハウをストックさせる
経験ストックの高低差は、能力向上差に有意差。
仕事を任せる際の目標咀嚼の高低差は、経験ストック差に有意差。
出典「中小企業における人材育成の実態調査」2015
〔チャレンジのさせ方〕
意義づけ : 必要性を伝える
↓
つまづきワクチン: 失敗しそうな点を予め伝える。そうしないと失敗した時、思考停止する。
↓
意義づけ
↓
自己決定
〔失敗経験の恐ろしさ〕
失敗を経験して嫌になる
↓
失敗しないことしかしない
↓
成長しない
マンネリ、いつもどおり。
これが、成長の最大の敵。
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<2.良くも悪くも習慣化してしまう>
人間は、習慣に支配されている。
見についた習慣を繰り返す習性がある。
いったん習慣化したものを変えるには、一度壊して、あらためて習慣化する必要がある。
成果を上げるか否かの決定因は、
才能ではない。習慣である。
生活習慣は、家庭。
社会習慣は、入社3年目まで。
〔習慣化成熟度レベル〕
レベル5意識しなくてもできることを意識レベルに落とし込む
他者教示(維持)。無意識にできていることを言葉にして他者に教えること、伝達することができる
↑
レベル4意識しなくてもできる
習慣化完了(行動期)。必要なことを考えたり、努力せずに無理なく簡単にできるようになった。行動1か月、スキル3か月、思考6か月。
↑
レベル3意識してできる
新習慣実践(準備期)。やることの意義を理解し、意識的に継続して行動し、できるようになった。
↑
レベル2意識しているのにできない
実践開始準備(関心期)。理解していないこと、できていないこと、能力がないことに自ら気づいた。
↑
レベル1意識していないし、できない
自覚なし(無関心)。能力もなく、能力がないことにも気づいていない。わかったつもり。出来ているつもり。
*行動変容は6か月以上行わないと定着しない*
*そして、行動変容は、変わる必要性を感じないと起こらない*
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<思考習慣と行動習慣>
アプリ(専門): 知識 (ナレッジセット) + 技術(スキルセット)
OS(基礎) : 思考習慣(マインドセット)+ 行動習慣(ビヘイビアセット)
*現状のOJTは、上モノ指導(アプリレベル)
思考習慣例
・ 目的からスタート ←→ 作業的
・ 素直
・ プラス思考
・ 原因自分主義
・ 変化対応
・ 知行合一
基礎行動習慣
・ あいさつ
・ 学ぶ
・ 報・連・相
・ 書く=考える
・ 聴く
・ 整理整頓
・ 目標を具体化
・ タスクの書き出し
・ 実践できる大きさにタスク分解
・ 優先度を決める
・ 期間を決める
・ 振り返る(内省)
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経験マネジメントと習慣化マネジメントを良好に進める鍵は、
本人の「正しい自己認識(=納得感)」が必要
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行動様式の変化があって
物事は、定着する。
どのような思考を
どのように変えたいのか。
1.1 ビジョンと人物像の明確化
組織として目指す姿、期待される行動や人材像などが明確に定義されている → 企業ビジョンやビジネスモデルと整合性のある人物像が定義されているか?
かつては「最低限のスキル」と「やる気」でどうにかなった。頑張っていれば偉くなるという、縦の幻想を盾にモチベーションを維持・向上させることができた。しかし、仕事が難しくなり、「コンピテンシー」という概念が登場。
1.2 人物像に基づく採用・評価・登用
期待される人材像に基づいて人材の採用が行われ、その基準が評価制度や人材の登用基準にも十分に反映されている → スタバのアルバイト採用でファーストインプレッションは何を見ているのか?なぜ学生アルバイトが3年続くのか?
自分たちが求めるコンピテンシーを一次・二次・三次で判定。「ここを通じて、自分はどうなりたいのか?」という質問を投げ、相手の出方を見極める。