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Channel: ひょんなことから国立大学助教授になった加藤雄一郎の奮闘記
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もうアカン。寝る!なにやってんだ!すっかり朝じゃんか!

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第1部 イノベーションと競争戦略

<1> 脱コモディティ化と価値創造
<2> Appleによるカテゴリー・イノベーション

<要旨>
多くの企業が、コモディティ化に直面。激しい価格競争に見舞われている。
脱コモディティ化に向けて、新たな価値を創造することが欠かせない。
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昨今、単なる「価値の創造」ではなく、「価値次元の創造」が注目されている。
現在の価値次元を新たな価値次元に転換して、市場をパラダイムシフトすることの重要性が説かれている。
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ただし、一口に価値次元の転換といっても、その価値次元を実現する要因が特定少数の要因で説明できて、かつ、市場でプレーする各社の技術力が高い場合、競争優位は一時的。再び、コモディティ化を招く。
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そこで、持続的な脱コモディティ化が注目されている。特定少数の要因で説明できないカテゴリ・イノベーションの重要性が説かれている。Appleのカテゴリイノベーションの場合、特筆すべき点は以下のとおり。
1) 相互に関連付けた新製品・サービスの継続的投入
2) 拠り所としてのコンセプト
3) 結果として、特定少数の要因では説明できない状況の確立

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第2部 競争戦略再考

<3> 差別化すべきは何か

競争戦略とは、違いを作ること。
しかし、違いであれば何でもいいのではない。
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我が国製造業の価値創造の取組みをみていると、
改良型の商品開発、高機能・高性能化/過剰品質、モノ偏重など、「差別化=性能差という暗黙的前提」が見え隠れします。
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しかし、
Appleの競争戦略は、特定製品・サービスの仕様差だけに目を奪われていない。
Appleは、特定製品あるいはサービスで勝負していない。
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たしかに、時間の経過と共に、Apple製品の性能はアップしている。
しかし、アップルの強さは、特定製品あるいはサービスの性能向上によってもたらされているのではない
また、EMSの活用や、アップルストアを活用した効率的なSCMを作り上げており、コスト優位を築くための組織オペレーション上の工夫もなされている。しかし、コスト削減だけに依存した競争ではまったくない。
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Appleは、価値実現の仕組みで勝負している。
単品で戦いを挑んでいるのではなく、相互に関連付けられた製品とサービスの組合せで勝負している。
今日の時代を生き抜くに相応しい事業の高付加価値化とは、製品あるいはサービス単品の戦いによってもたらされるのではないということを我々はあらためて理解する必要がある。
製品あるいはサービス単品の戦いは、限界を迎えているのです。
さらに、生産活動の持続的改善による組織オペレーションを高める取組み一辺倒ではもはやどうにもならないということも強く理解する必要がある。
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<4> 競争戦略における「2つの違い」

違いの作り方は2つある。
競争戦略で明記すべきはわずか2点。
事業の戦略的ポジショニングと組織能力。

Appleの場合は二項目はこうなる。K社の場合はこうなる。
特定少数の要因では説明できない持続的な脱コモディティ化の競争に持ち込む拠り所は、戦略的ポジショニングに在るといえる。

前章では、Appleの「創造性あるライフスタイルを創る」をコンセプトと呼んだ。
コンセプトとは、競争戦略における事業の戦略的ポジショニングにほかならない。

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<5> 事業の戦略的ポジショニングで明記すべきこと

いまの我が国の事業戦略は、
「当該事業が何を売って儲けるか」、「当該事業はどういう市場を重視するか」という、
自分達の、自分たちによる、自分たちのためのポジショニングになっているきらいがあります。

Appleのケース、コマツのケースともに、
戦略的ポジショニングに記されていることは、「当該事業は何を売って儲けるのか」、「どんなモノやサービスを売るか」という問いの答えではない。
Appleの場合、「創造性あるライフスタイルを創る」こと
コマツの場合、「長期にわたって顧客が仕事できる」こと
両者に共通することは何でしょうか。
明記してあることは、「顧客に何をさせてあげるか」、「顧客の何を実現しようとしているのか」という将来の顧客価値です。

そして、掲げた顧客のコト価値の実現に向けて、
コト価値を実現するための方策が継続的に考案され、
強烈な戦略ストーリーとして創り上げられている点です。

ここでいう方策は、顧客にとって直接的な「価値を実現する道具としての製品・サービス」に限りません。そのような製品・サービスを提供するための組織内部のオペレーション上の方策も該当します。価値を実現する道具としての製品・サービスの継続的市場投入、そして、投入した製品・サービスの稼働および運用を支える組織オペレーションの仕組み、さらには、今後の新たな製品・サービスを生み出すための仕組み、これらがすべて組み合わさることによって、特定少数の要因では説明できない持続的な脱コモディティ化が実現されているのです。

そして、そのような持続的な脱コモディティ化をもたらす源にあるものこそ、顧客の未来の価値に着目した事業の戦略的ポジショニングなのです。

「何を売るか」、「どういう市場を重視するか」だけではなく、むしろ、
「当該事業はそれら何を売ることを通じて、顧客の何を実現するのか」
「当該事業はその市場を重視して、顧客の何を実現するのか」
という、未来を見据えた顧客価値を明記すべきなのです。
これは、今日のマーケティングの潮流をふまえると、極めて重要なことなのです。

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5.1 未来の価値に着目することの重要性: 顧客ロイヤルティ、エンゲージメント

長期にわたる良好な顧客関係性を築くことの重要性が説かれている。
背景には、市場の成熟化、市場規模の伸び悩み、・・・など
新規顧客の獲得に要するコストがかつてと比較して大きく増大化していることが挙げられる。

継続購買意向を獲得することが重要。
しかし、CSだけではこの意向を獲得できないというショッキングな報告がある。

顧客ロイヤルティは、損得的次元と感情的次元の2つによってもたらされる。
重要なことは、損得的次元に加え、感情的次元を獲得すること。
今日、エンゲージメントが注目されている。
顧客と一緒に未来を見据えることは今日の顧客関係性構築において極めて重要。
後者は、未来への期待。
共有された未来の価値に対する期待が、長期にわたる良好な顧客関係性をもたらす。

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5.2 未来の価値に着目することの重要性: 価値共創者としての新たな顧客観の登場

これまでの常識を根底から覆す考え方が登場した。
その名は、SDロジック。
企業は価値提供者には成りえない。
企業が提供できるのは、価値を実現するための道具としての製品・サービス。
価値については、提供ではなく、提案することしかできない。

未来の顧客価値の実現に向けて
企業は、価値を実現するための道具としての製品・サービスを提供する
顧客は、そのような道具を使いこなす。
こうして、価値は企業と顧客によって共創される。

戦略的ポジショニングとして明記すべきは
長期にわたって共創関係をもたらす「顧客と共創する未来の価値」。

*本章ではSDロジックのほか、「サービス・イノベーション」、「ソリューション・ビジネス」、「製造業のサービス化」といったキーワードを交えたい。

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5.3  未来の価値に着目することの重要性: 仕事の目的・意義、モチベーション3.0

未来の価値に着目することの重要性は、対顧客という観点だけではない。
組織内部の従業員各人の創造性をかき立てる上でも
「未来の価値」に目を向けることが重要。

過剰管理で疲弊している。
業務の効率性に重きを置くあまり、目前の仕事に追われる日々。

今日、働く意味・意義が求められている。
「自分が何かの役に立っている」、「自分が誰かの役に立っている」という実感の重要性は昔も今も変わらない。
個を活かす経営を目指すなら
組織に散在する知識を集約し、新たな知識を生成する源としてのビジョンを大事にすべき。

その先駆けはZ社だった。
かくかくしかじか。
ビジョンは各部門・各人の利害を超越させる。
ビジョンは各人の創造性をかきたてる。
良いビジョンが、革新的な新製品・サービスを生み出す源になるといっても過言ではない。

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<6> 事業戦略構想4点セット

こうして考えると、
事業の戦略的ポジショニングは、未来を見据えたビジョナリ―な内容であることが求められる。

ここで興味深い考えを紹介したい。
遠藤に拠れば、経営の三要素は、ビジョン、戦略、オペレーションから構成される。
ビジョンとは、
戦略とは、
オペレーションとは、

遠藤がいう戦略は、ポーターの戦略的ポジショニングに相当する。
また、遠藤がいうオペレーションは、ポーターの組織能力に相当する。
ポーターの競争戦略に、ビジョンを加えたものが遠藤の経営三要素というわけだ。

また、前述のカテゴリー・イノベーションの話も加味したい。
戦略ストーリーは、SPとOCを具現化した全体図面といえよう。

筆者は、戦略立案項目を次の4点セットで定めることを提唱したい。
ビジョン、戦略的ポジショニング、組織能力、戦略ストーリーである。
これら4項目を、以後、戦略構想4点セットと呼ぶ。
我々に必要なことは、
組織内外の事業に関わるすべての関係者が、共感し、納得し、行動を起こす原動力となる戦略構想4点セットを作り、関わるすべての人々と共に、戦略ストーリーに落とし込むこと。
これが、特定少数の要素で説明できない持続的な脱コモディティ化をもたらすのだ。

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第3部 事業の高付加価値化に向けた全社的取組み

<7> 我が国の組織が直面する実態

<8> インターナル・マーケティング: 知識創造の組織的取組み

<9> インターナル・マーケティングの手続き(事例)

<10> インターナル・マーケティング取組みの意義
10.1 全体観ある長期的展望の獲得
10.2 従業員のモチベーション向上
10.3 従業員各人の思考にもたらす質的変化


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