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Channel: ひょんなことから国立大学助教授になった加藤雄一郎の奮闘記
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野中先生、講演メモ

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知的機動力とは、
共通善に向かって実践的な知を俊敏かつ賢く創造、発展、共有、実践する能力。

「知識」の最大の特徴は
人が関係性の中で主体的に作る資源であること。

知識とは、個人の信念・思いを「真善美」に向かって、社会的に正当化していくダイナミックなプロセスである。

現象学が言わんとすることは
「主観を大切にしよう」。
感覚が大事。

創造性とは、一人ひとりの一人称の感覚がベースになる。イキイキした主観的意味が大事。コンセプト、意味、価値を創っていこうじゃないか。

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【主観的意味(一人称的観点)】
自分が感じている意味や価値こそが根源的である(インサイドアウト)

【客観的事実(三人称的観点)】
外部の物理的刺激の因果関係から知覚経験が成立する(アウトサイドイン)
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創造性は、最初に経験ありき。
ただし、経験のままではダメ。

ベースは感覚。それを普遍化する。
その本質、意味、価値を形式化して、実践して、新しい価値を生み出していくことが重要。

アブダクション
=仮説を作り続ける
=創造の方法論

アブダクションとは
概念化すること、意味を抽出すること、コンセプトを作ること。

【アブダクションの作法】
下位レベルの細目から特定の要素を抽出・統合して、上位の意味を創造し、それを繰り返すことによって、より全体へと注目を移す創造的プロセス。

部分と全体は相互作用の関係にあり、何を全体とするかは、目的、経験、知識に依存する。

低次性質(部分)から高次性質(全体)にまとめる能力は、信念、目的、過去に依存する

【経験の重要性】
経験の質と量は
アブダクションに重要。

経験の質量を積むことにより
パターン認識の形成力が上がる。

【リベラルアーツの必要性】
リベラルアーツとは
哲学、歴史、文学、心理、レトリック、芸術。

SECIモデルの考案は、自らの直観によるものだった。直観後、理論づけのために哲学を勉強した。

真剣な問題意識があって初めて、教養は分かる。逆の言い方をすると、問題意識がなければ、教養は頭に入ってこない。真理を知りたいと思った時に、勉強すればいい。直観を説明したくなった時に勉強すればよい。先だつものは「どういうコンセプトを作りたいのか」という目的意識。

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【相互主観性】
一人によってイノベーションが生まれるのではない。複数の相互作用によってもたらされる。

主観が主観に留まる限り、普遍にならない。
始まりは、各人の主観。ただし、各人の主観は「何が美しいか」「何が良いか」といったその人間の価値観に基づく。各人の主観を、「共感」にもっていこう。

人類進化の鍵は
共有された志向性(shared intentionality)。人類が進化の過程で培った「共有された志向性」が協調性を可能にし、進化の道を決定した。

プロネティック・リーダーシップ
善い目的を追求する

【知識生成の過程】
個人の主観(一人称)

対面で共創する相互主観(二人称)

大きな組織で共有する客観(三人称)

相互主観とは、
相互に他社の主観と全人的に付き合い、受け入れ合い、共感しあう時に成立する。こうして、自己を超える「我々」の知識が創造される。

現実を直観する

場を作る

直観の本質を物語る

物語を実現する

実践知を自律分散する

プロネシスとは、知識を知恵化すること。共通善や徳の価値基準をもって、個別のその都度の文脈のただなかで最善の判断ができる実践的な知性をいう。たとえば、個別具体の文脈で、解を見つけること。

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【GEの挑戦:“GE Values”から“GE Beief”への移行】

価値(Values)から信念(Belief)へ。
ビリーフは、内面に入り込み、行動を促す。
この移行の意図は、一人称の復活。

前者(GE Values)の記述ラインナップは、みな名詞。後者(GE Beief)の記述ラインナップは、みな動詞。

発見する discover

展開する

学習する

行動する

上記プロセスは、
「PDCAじゃねえ!」というメッセージを内包している。始まりはPではない。始まりは「直観」であるべし。その後に分析。まずは、現実を直観する。そして、深く考えることが肝要。

ビリーフ(行動基準、行動規範)の導入により、評価方法も改革した。9ブロックを廃止し、パフォーマンスディベロップメント(一緒に成長していこう)を導入した。

パフォーマンスディベロップメントは、個人の直観を重視し、その上で相互主観性を促す仕組みといえる。

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【相互主観性を活かした経営のすすめ】

知的機動力経営は、
文脈に依拠する能力としての暗黙知を源泉とし
相互主観性を媒介とした組織の知識を創造する経営のこと。

共通善に向かって
実践的な知を俊敏かつ弁証法的に
創造、発展、共有、実践する能力が組織に求められる。

なにがほんとのヒューマンか
それは、共感力。

暗黙知と形式知のダイナミックな行き来がますます重要。SECIモデルは、はじめに共感ありき。対話を通じて、コンセプトを作る。体系⇒実践

【共通善】
あらゆる行為や選択はすべて何らかの善を希求する。byアリストレス

相互主観性のために、共通善(common good=善い目的)を作ることが重要。「大志を抱く」ことの重要性。

【理想主義的プラグマティズム】
理想は決して達成できないかもしれないが、それを達成しようとするからこそ人は限界を超え、知を創造する。人を動かすのは理想を追求したいという信念、思いである。by ニコラス・レッシャー「human interests: reflections on philosophical anthropology」

なお、
はなから「そもそもそりゃダメだな」という目標はダメ。「やればできそう」というサジ加減の目標設定が重要。

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二者択一から二者両立の経営へ。
「あれか、これか」ではなく、「あれもこれも」へ。

一見矛盾する二者を両立させることによって、創造性が生まれる。物事を二項対立として捉えるのではなく、二項動態として捉え、そこから成り立つ動的平衡の行き先をイノベーションへ向け、それを組織的に実践、達成していく理論がSECIモデルとフロネシス。

ダイナミックで変化に富む二項動態の経営を目指すことが、組織の創造性を引き出す。

経営の本質は、
世のため人のためという大義と
儲けることを綜合し
最後は勝つことにある

市場とは
部分的な知識しか持っていない多くの人々との相互作用の場

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