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Channel: ひょんなことから国立大学助教授になった加藤雄一郎の奮闘記
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コンピテンシー面接の面接者と被面接者の両方を自分でやってみる(1)

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さきほどとは別の話なのですが、
もう一つ、いま考えていることがあり、どうやっていこうかを参考書を読みながらアレコレ考えています。参考書に書かれていることがほんとに使えるのか確かめるために、自分ならどう答えるんだろう?と、以下でシミュレーションしてみてます。

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ステップ1では、被面接者が過去1~2年に取り組んだことの中で、それ相当の時間を費やし、密度の濃い取り組みをし、何からの成果を生んだといえる取組みをテーマにします。エントリーシートや履歴書に大学時代に主に取り組んだ活動(クラブ活動、勉学、ボランティア活動、趣味など)について記入してもらっておくと、このテーマの設定をより短時間に手際よく行うことができます。

[ステップ1]
過去1~2年の間に、あなたが特に力を入れて取り組んだことの中で、ご自分で成果が上がったと思われる取組みには、どのようなものがありますか?

1. 劇団経験がほとんどない中、大学4年になった時に主宰になり、その後5年間、全7回の公演で、のべ1000人に自分たちの作品を観ていただいたことです。

2. 大学4年の時、「聞いてくれるひとがいない代々木公園で練習していても張り合いがない」と、渋谷ハチ公の広場でサックスを吹き始めるようになり、足を止めてくださる人が増えたことと、複数回にわたって聴きに来てくださる人ができたことです。

3. 某社の○○プロジェクトに参画し、同社の新事業創造に微力ながら関わることができたことです。

4. 某社の〇〇プロジェクトに参画し、同社のブランド経営の礎をメンバーとともに築いたことです。この取り組みは、現在の同社の好業績に繋がっていると考えております。


こんな感じなのかな??
で、次はどうなるんだ??

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ステップ2では、ステップ1で設定されたテーマについて、工夫した点、苦労した点を尋ねます。被面接者の数ある行動事実の中から、ある取組み内容について「特に工夫した点」あるいは「苦労した点とその解決方法」があらわれた場面を抽出する理由は、こうした場面での行動事実に最も本人のコンピテンシーがあらわれやすいからです。

一般的に、前例を踏襲している時、普通に考えられるやり方で取組みを進めている時、ものごとがスムーズに進行している時には、それに関わる人間にさほど高いコンピテンシーは必要とされません。高いコンピテンシーが要求される場面の多くは、何か新しい試みを自分なりに付け加えた時、普通に考えられるやり方や今までのやり方ではうまくいかないという困難を克服した時です。このように、そこにポイントを絞ってインタビューを行い、被面接者のコンピテンシーを効率よくみていきます。

[ステップ2]
ステップ1で設定した取組みの中で、何か特に工夫した点、あるいは、苦労した点はありましたか。具体的なエピソードがあれば教えてください。

1. 主宰ではありましたが、演出家を含めメンバー全員が私より経験が長く、また、この劇団は生演奏を絡める舞台を目指しており、ミュージシャンは全員プロでした。関係者のなかで自分のキャリアが一番浅かったため、一つの作品を完成させるためにみんなの気持ちを一つにすることに相当注力しました。

2. はじめのうちは、すべての人々が目の前を素通りでした。これでは誰もいない代々木公園で練習しているのと変わりません。どうすれば人々の足が止まるのか。そればかりを考えていました。誰もが知っている曲を吹いてみたりもしましたが、誰でも知っている曲は「どういう演奏がうまい演奏か」をみんなが知っているため、未熟な私がその曲を演奏しても意味はないことに気づきました。いろいろ試してみた結果、3~5分の曲を通り一辺倒に演奏するより、たとえ2,3小節でもいいから自分固有のフレーズを放つことの重要性を見い出しました。

3. 検討を深めているうちに、本業から外れたアイディアが導出されるようになりました。はじめのうちは、「本業からかけ離れている」という理由で、そのようなアイディアを深く考えることもなく排除していましたが、そのなかの一部に、本業とは直接関係しないものの、だからといって、排除することなく本業の発展に活かせるアイディアが存在していることに気づきました。【あ、このさきが続かない!】

4. 召集されたメンバーはそれぞれ異なる部門に所属し、重要な任務を負っていました。インターナル・ブランディングは言うほど簡単ではなく、各部門は異なる利害をもつため、一致点が見い出せずにいました。一方を立てると、もう一方が倒れるという議論が繰り返され、この問題を解消しようとすると、玉虫色のフワっとしたブランドコンセプトになりました。ところが、この種のフワっとした表現は、一見すると衝突回避策に見えるのですが、このコンセプトに基づき具体策を考案しようとすると、再び各部門の思惑が前面に出て、各部門に具合のいい解釈が行われるという事態を引き起こしました。各主体の利害を超越するビジョンが重要であることはいうまでもありませんが、そのビジョンがフワっとした表現のままでは十分ではないことを痛感し、「ビジョン」とともに、そのビジョンを実現するために自分達が発揮すべき「能力」をセットにして表しました。

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ステップ3では、コンピテンシー評価を行う行動事例を引き出すため、プロセスをさらに具体的な局面に落とし込んだ場面の特定を行います。ここでいう「場面」とは、時間(何月何日の何時ころ)が特定されているシーン(最長でも1日単位)、あるいは固有名のある場所と結びついたシーンを指します。本人の頭の中で、映像としてありありと具体的に回想できるシーンといえます。

・特定のミーティング、打合せシーン
・誰か(先輩、後輩、仲間、上司、お客さん)などとの対面シーン
・資料収集のために出かけたり、パソコンの前で作業しているシーン
・自ら何かを書いたり、作成しているシーン
・プレゼンテーションを行っているシーン
・セミナー、講義、ゼミ、合宿などに参加しているシーン
など。

ステップ3では、
ステップ2で述べられた「~というような工夫をした」、「○×▼という困難があったが、~することで克服した」という事柄について、その行動を取った場面について思い出して、その様子について描写するよう促します。

【ステップ3】
問題点を解決するために、~というような工夫をしたということですが、それは具体的にはどのようにしたのですか?そのときの状況を思い出して詳しく教えてください。

1. 最も思い出されるのは、当時 銀座のジャズクラブでプレーしていたドラマーを説得した場面です。つたない言葉ではありましたが、自分の舞台観を必死に伝えました。たとえば、なぜ舞台に生演奏を必要とするのかについて、「思いや意図の伝達は、必ずしも『言葉(セリフ)』である必要はなく、受け手の解釈自由度の高い『音楽』のほうが優れている場合が少なくない。最も重要なことは『意図の伝達』であり、『その意図を伝える上で、最も相応しい伝達手段は何か』を都度考えていきたい。舞台を通じた総合コミュニケーションの実現に力を貸していただきたい」と必死に伝えました。こちらの考えを一方的に伝えるだけでなく、相手の音楽観や、これからの音楽活動の展望に耳を傾け、ご自分の音楽活動のキャリア形成の一環として、音楽家として舞台活動に関わることは表現力を磨くことに寄与するのではないか。と、本件が先方の利害に一致することも併せて訴求しました。

4. プロジェクトがスタートして1年ほど経過したWSにおいて、それまでの議論を1枚の図で表現したあるメンバーが同図の説明中に核心を突いたフレーズを言いました。本人はその言葉がどれほど核心を突いたものなのか自覚している様子ではありませんでした。また、そのままでは周りで聞いていたメンバーたちもスルーしてしまいそうな様子でした。このとき、咄嗟に「演繹と帰納」の話を思い出し、そのフレーズに拠って立つと、それを原理・原則に演繹すると、たとえば、○○部はこういう新たな発想がありうるのではないか。はてまた別の××部にはこういう新たな発想がもたらされうるのではないか。という話をして、そのフレーズを採用することが決まりました。

[つづく]

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