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Channel: ひょんなことから国立大学助教授になった加藤雄一郎の奮闘記
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コンピテンシー評価が重要視されるようになった背景

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P2-5

コンピテンシーという概念は、
1970年代の初頭に「成果予測要素」として、米国の政府機関における人材採用手法の核を成す概念として開発された。

同程度の知識やスキル、同レベルの頭の良さの人であっても、実際の業務で成果を出せる人と出せない人がいるのは、なぜか?その違いはどこにあるのか、がコンピテンシー概念が開発された出発点。

90年代後半、日本でも「頭もよい、性格もよい人材を採用しているはずなのに、配属した部署から、人事は現場で役に立つ人材を採用していない」と現場から人事に苦情が寄せられるようになった。「時間をかけて育てれば大物になるかもしれない」という人事が重視する採用に対し、現場は新人をかつてのようにじっくり時間をかけて大器晩成型で育てる余裕が失われており、新人であれ、できるだけ早期に戦力化して、業績に貢献する成果を上げてもらう必要があったのである。

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日本企業の従来の新卒採用で重視されてきた「優秀さ」の基準は主に2つある。
一つは、一流大学の出身者かどうか。その背後には、[一流大学出身者=優秀]という図式がある。もう一つは、入社動機や、この会社に入ったら何をしたいか、などの質問に対する回答が、学問的知識に裏付けられ、論理的に矛盾がないものになっているか。

しかし、実際の会社の企画会議などで、人の提案やアイディアを批評するだけで、自分では何もしない評論家型の人間をよくみかけるが、優秀=頭が良いという基準だけで人を選んでしまうと、この種の評論家タイプの人財を大量に抱え込んでしまうことになりかねない。また、志望動機のような抽象的な質問に対する回答は、どれだけ論理的に正しかったとしても、本心からそう思っているかどうかは確かめようがない。成果を生み出すための行動特性(コンピテンシー)のない人材でも付け焼刃の知識と口の巧みさだけで面接をパスしてしまうことになりかねないのである。

頭がよいから、業務で成果を生み出せるというわけではない。
頭の良さは、成果を生み出す必要条件にはなりえても、十分条件にはなりえない。
成果を生むためには、頭の良さを成果に結びつける何らかの要素、すなわちコンピテンシーが必要なのである。


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