<第1章 第2段落以降>
しかし今日では、
製品の不具合は少なくなっている(嶋口、1994; 延岡、2006)、
持続的改善による市場インパクトは相対的に小さくなっている
各社の技術水準の向上(要引用)、
新興国の台頭(要引用)、
モジュール化の進展(要引用)
など、
市場において既に顕在化している製品性能や品質要素を高めるだけでは競争優位を築く上で限界があることが指摘されている。
持続的な改善活動を通じて、優れたものを低コストで開発・製造するだけでは、競争力を強化し続けていくことは難しくなりつつあるといえる
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このような背景を受けて
既に在る目標の達成水準を高める取組みのほかに
目標自体を新たに創造することの重要性が説かれるようになった。
たとえば、
これまでは顧客に自社製品を納入後の「稼働率」を高める取組みを組織的に行っていた建機メーカーが、
新たに「顧客の施工現場における建機の生産性」という達成尺度を新たに設けた例や、
また、コンパクトデジタルカメラ市場において、これまで「画質の精細度」を高めるべく画素数を各社が競っていた中で、
新たに「その日の印象的な出来事をすべて残す」ことに重きを置いて、製品本体の薄さを追求して持ち運びやすさを実現した電子機器メーカーの事例が挙げられる。
改善活動の多くは、
達成すべき尺度そのものは既に在り、
その尺度に対してしかるべき達成水準を定めることが「目標設定」としてみなされる傾向があるが、
企業が競争力を高めるために達成すべき尺度はかつてと比較して明示的ではなくなっていることや
製造業のサービス化、サービス・イノベーションという表現に象徴される製品・サービスの組合せによる新たな競争を展開することの重要性が説かれていることから
今後は達成すべき尺度そのものの創造力が求められるといえよう。
かねてより我が国の組織の特徴として、
「ひとたび目標が設定された後の達成力は高い」ということが挙げられていることから、
新たな達成尺度を考案する目標創造力の向上はそのまま競争力の向上に直結することが期待される。
これまでのTQMは、目標設定後の達成方法(How to do)に重点が置かれた方法論が多くを占められてきたが、
昨今の商品開発が、既存尺度の達成水準を高めるに留まる「改善型商品開発」に陥っているという指摘(延岡、2006; 青木、2011)や、
挑戦的な全社方針が設定された場合であっても、そのような全社方針が部・課のレベルに展開されていく過程で、全社方針を達成するに相応しい達成尺度が設定されずに、
従来からある既存尺度を偏重した下位部門方針に落とし込まれていく方針間の不整合が指摘されている(長田、1996; 細谷、2012)ことから、
今後は、達成すべき目標は何か(What to do)を支援する方法論が求められる。
各部門および従業員一人ひとりに新規目標を生み出す力が求められる時代が到来したといえよう。
<以後>
目的の重要性へ。
ただし、文脈上の流れを考慮すると、
既存の書き出しは通用しない。