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Channel: ひょんなことから国立大学助教授になった加藤雄一郎の奮闘記
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これはきっと使える

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これはおそらく、

少し前の組織M論文の文章だと思います。

第3章の「既存のQCストーリーとの違い」で、有用なくだりがいくつもあるような気がします。


 

問題解決法に基づく組織能力の強化によって競争力を高めていた当時、顧客や社会から求められるニーズは、今日に比べ相対的に明らかであった。つまり、明示的なあるべき姿のもと、その高度実現に向けて、現状を適切に把握し、そのギャップを生む原因を究明し、対策を講じるというサイクルを繰り返すことで、企業の競争力を高めることができたのである。しかし、今日では社会経済の成熟化に伴い、製品・サービスに対するニーズの多様化や高度化、複雑化が起きていることが指摘されている(飯塚[4])。また、そのような変化に伴い、「いかにすべきか」とともに「なにをすべきか」がより重要な観点になりつつあるという指摘もある(狩野[7])。これらが示唆することは、「あるべき姿」自体が不明瞭になりつつあるということである。これに関して狩野[7]は、変化の激しい今日では、あるべき姿だけでなく、ありたい姿を定めることの重要性を指摘している。あるべき姿は、既に顕在化している目標であるのに対し、ありたい姿は、これから新たに設定する目標を意味する。さらに、ありたい姿を基点とした方法論を課題達成法と呼び、問題解決法とは異なることも説明している。問題解決が「現状の水準とねらいに乖離がある場合、その乖離を既存システムの枠組みを前提として解決しようとする活動」と定義される一方、課題達成は「新しいシステムを構築、あるいは既存のシステムについて、その枠組みにとらわれずに現状を打破することによって、ねらいを達成しようとする活動」と定義される。すなわち、課題達成は、既存のシステムの枠組みにとらわれずに改革を行い、新しいシステムを構築することであり、既存システムの延長線上で改善を行うものではないのである。同様に妹尾[2]も、社会が成熟化した今日では、既存の延長線上である「成長型」の取組みよりも非連続的な変革を伴う「発展型」の取組みがより重要となると指摘している。


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