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Channel: ひょんなことから国立大学助教授になった加藤雄一郎の奮闘記
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QFDを徹底的にDoニーズで考えたい

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品質機能展開(QFD: Quality Functional Deployment)を勉強したのは遠い昔の学生時代なので、あらためて理解し直したくて、かつて自分が関わったブランド管理システムを引き合いに出して振り返ってみました。そしたら、「理解し直す」という次元ではなく、風変りな独自バージョンのニオイがプンプンしてます。

ところで、「かつて関わった」って、いつだったかなと思って数えたら、ひょー、なんと20年前でした。昔ばなしですね。汗汗

あのシステムに対する要求品質は何だったんだろう?
と振り返りますと、以下のような感じです。

【A群】
・ 当該商品カテゴリにおける各評価項目を、評価項目間の類似性に着目してグルーピングする
・ 評価項目グループごとに、対象製品の適合度を、評価する
・ 当該カテゴリにおける、各評価項目グループの重要度合いを、評価する
・ 当該商品カテゴリにおける、対象銘柄のブランドパワーを、評価する

と挙げたところで、
「検討の初動がこれでいいのか?」
と違和感を覚えました。

これらを掘り下げていけば
たしかに要求品質にはなると思う。
でも、私が考えるべきは、「製品に何を要望するか?」ではなく、「そもそも顧客は何をしたいのか?」です。

上記は、「システムに何を要望するか?」という問いの答えではあるけど、この問いは、Doニーズを訊いているのではなく、Haveニーズを問うてますよね。

では、「そのシステムを通じて、何をしたいか?」という問いに改めると、答えは以下のようにぜんぜん違うものになります。

【B群】
・ 対象銘柄の問題個所を、特定する
・ 来期コミュニケーションにおける価値訴求重点箇所を、特定する
・ 対象銘柄の来期コミュニケーションにおける価値訴求内容を、構想する

教科書どおりにいけば
品質表の表側に書くべきは
A群だと思うんです。
A群を展開して3次レベルで表現し、
そこから品質特性を考えることになると思う。

でも、本件の趣旨は、「顧客Doを展開して、当社が担うべき(当社のハード・ソフト・人が担うべき)事項を明確にする」という点を取り入れる必要がある。

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その後、あれこれ考えたのですが、
A群もB群もDo表現になっていて、
B群が目的系Doで、A群が手段系Doです。
つまり、両者は因果で繋げた表現になる。

突貫工事で要素を追加してザザッと書いてみると、下記のような感じ。

イメージ 1


これらのDoは、顧客本人が行うことです。因子分析やクラスター分析は手計算したくないですが、そうは言ってもSPSSやSASがなければ、手計算ですよね。そういえば、実際に修論の時は、分散分析を手計算してましたっけ。

ま、それはさておき。
上記Doのうち、黒字の箇所をシステムに代替させることが、当時のブランド管理システムが狙っていたことでした。残りの赤字箇所が顧客本人によるDoです。

「上図の黒字Doを担う製品の良し悪しは、どのような観点で説明できるか?」という問いの答えを、品質要素と考えてみたいのですが、そうすると、その答えは、

・ 評価項目網羅性(当該商品カテゴリを検討するに相応しい項目ラインナップになっているかどうか)
・ 調査対象の目的適合性(対象銘柄の課題抽出に相応しい比較対象ラインナップになっているかどうか)
・ 被験者サンプル分布の均等性(性別や年齢など区分ごとにサンプル数に偏りがない)
・ 回答項目網羅性(回答モレ無し)
・ 評価全体構造の視認性
・ 銘柄グルーピング過程全体像の視認容易性
などが挙げられます。

この品質要素を満たすために
システムはどのような仕様であるべきか?
という問いの答えを設計品質にしたいと思い始めています。

このように考えることが、
検討の初動を「Haveニーズ」から「Doニーズ」にシフトすることになるのではないかしら。

教科書を逸脱していることは承知しています。

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