【ポイント】 P41、61-62
1.機能表現を用いて業務を表現する
2.業務を技術や保証項目との二元表を作成することによって明確にする
3.業務遂行に重要な技術を表出して人財育成計画に応用する
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【各ポイントの解説】
1.機能表現を用いて業務を定義する
従来の業務に関しては、その表現方法が明確になっていないため、各社が自由勝手に業務分掌規程を作成していた。しかし、業務を業務機能として機能表現を用いて表現することによって、業務が明確になるだけでなく、業務の品質を考察しやすくなる。
2.業務を技術や保証項目との二元表を作成することによって明確にする
業務について機能表現を用いて「名詞+動詞」の形式で表現すると、保証項目を明確に表すことができる。技術に関しても同様に、機能表現して技術という言葉を膠着すると技術を明確に表現することができる。
3.業務遂行に重要な技術を表出して人財育成計画に応用する
業務機能展開表を作成し、技術展開表との二元表を作成することによって、業務や技術のヌケやモレを防止する可能性が高まるが、このことだけでなく、重要な技術を明確にしたり、重要な業務を明確にしたりすることができる。
さらに、技術展開表と当該部署構成員の名前との二元表を作成し、交点のマスに各人の技術レベルを記入した星取表を作成すれば、どの人の、どの技術を高める必要があるかについても可視化できる。この結果から人財育成計画を策定すれば、関係者が納得できる計画となろう。
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【概要】
品質保証を目的とした品質管理活動が盛んだった時期には、品質保証体系図と品質保証活動一覧表がセットとして作成され、活用されていた。デミング賞などの品質賞を受賞した企業の多くは、その品質保証の体系を示すために、品質保証体系図や品質保証活動一覧表を作成している。
品質保証体系図とは、品質保証のための活動を、いつ、どこで、誰が、何をするのかについて示したもの。ただし、品質保証体系図には、どのような管理帳票を元に、何の目的で実施されるのかについての具体的な記述はない。そこで、品質保証のための作業と具体的な保証項目の関係や関連帳票類との関係を示したものが、品質保証活動一覧表である。これらの管理帳票に記述される業務は、業務機能展開表を作成していくことによって確実化できる。
業務機能展開は、抽象的な業務を、具体的に実行可能な業務に展開すること。業務機能展開は、価値分析・価値工学の流れからのQFDである。品質を保証する業務を展開することができれば、この重要業務を品質保証体図や品質保証活動一覧表に反映することができる。品質保証体系図や品質保証活動一覧表に記述される業務を、業務機能展開表から取り出すのである。
業務の中で、品質保証に関する業務を、企業活動の行われる順に整理すると、品質保証体系図の原型ができあがる。品質保証体系図は、業務ステップと部門の二元表であり、これに各部門での業務を記述したものである。
業務機能展開表の使途用途
・ 業務機能展開表と部署との二元表を作成して、重複する業務の存在や、不必要な業務の発見に使用できる。
・ 当該企業もしくは当該部署で必要な技術を展開し、業務機能展開表との二元表を作成することによって、業務に必要な技術が明確になり、育成すべき技術も明らかになる。
出典: 第3世代のQFD 第3章「業務の核心のためのQFD (Job Function-QFD)」