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Channel: ひょんなことから国立大学助教授になった加藤雄一郎の奮闘記
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業務機能表現を活用する上で基本となる考え方

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1) 業務機能と業務保証項目

従来、業務に関しては業務分掌規程などによって業務分担を記述していた。
しかし、その表現方法が明確になっていないため、各社が自由勝手に業務分掌規程を作成していた。分掌した業務の表現については、その対象のみが記述されていることが多く、業務を業務機能として機能表現を用いて記述されていることは少ない。

どのような業務を取り上げてみても、その業務だけが独立していることはない。それぞれの業務には目的があり、何らかの業務と関連している。そして、その業務には必ず業務の品質が確保されている。これらの関係は、「業務機能」と「業務保証項目」により表現できる。
日常生活は様々な行為で溢れている。食事を摂ったり、新聞を読んだり、掃除をしたり。それぞれの行為には目的があり、ほかの行為と関連している。そして、行為には必ず行為の品質が確保されている。

業務機能とは、人間が行う業務のはたらきや役目を表現したものである。
業務機能の表現は、業務の対象である「名詞」と、業務の作用を表す「動詞」を用いる。
たとえば、「書類を保管する」、「安全性を確保する」など、「〇〇を〇〇する」という要領で、「名詞+動詞」の形式で表現する。

名詞と動詞を組合わせる表現は、有形財の機能表現と同様である。
この機能を人間が果たす場合に「業務」と呼ぶ。

次に、
よりよい業務設計を行うためには、
その業務の目的は何か、何を期待されているか、求められる内容や成果物は何かを考え、
次の業務に引き継ぐときの業務レベルを明確にしていくことが重要である。
これを「業務保証項目」として表す。

一例として、情報収集業務を考えてみよう。
この場合の業務機能は、「情報を収集する」というように表現できる。
この業務機能に対する品質要求レベルは、「タイムリーな情報を収集する」や、「情報を迅速に収集する」というように、修飾語を考えることによって明らかになる。
このように、「情報を収集する」という業務機能についての修飾語を考え、「情報の適時性」や「収集の迅速性」などの保証項目が抽出される。

業務を業務機能として機能表現を用いて表現することによって、業務が明確になるだけでなく、業務の品質を考察しやすくなる。
業務機能が明確に記述されていれば、
保証項目の抽出も楽になり、保証項目と業務機能の二元表を作成すれば、業務が何を目的に実施されるべきであるかが明確になる。


2) 業務機能展開

業務機能展開は、抽象的な業務を、具体的に実行可能な業務に展開すること。
業務機能展開表は、業務を業務機能として機能表現で表し、その業務機能を階層構造化した表である。

業務機能には階層性がある。すなわち、抽象度の高い業務機能は、より具体的な業務機能に分解して表現することができる。

「製品を企画する」ためには、「現状を把握する」ことが必要であり、「現状を把握する」ためには、「市場動向を調査する」や「現行製品の品質特性上の課題を把握する」などの業務を進める必要がある。

階層構造はピンキリである。
「部品を発注する」という業務機能を考えると、
部品を発注するために、さらに具体的な業務を思いつく。
「発注先を選定する」という業務もあれば、「発注先に電話する」という業務もある。

この業務はさらに『動作』と呼ばれる単位にまで分解できる。
たとえば、「発注先に電話する」ためには「受話器に手を伸ばす」「受話器を握る」「受話器を耳元に引き寄せる」という連続動作が必要になる。

すると、どのレベルを業務というか?」が問題になる。
一般的には、一連の動作の集合体で要素作業が構成され、
いくつかの要素作業が集まって単位作業が構成され、
単位作業がいくつか集まって一つの仕事が成立する。

有形財の場合と同様、業務も機能表現することが重要であり、機能表現することによって単に職務を分掌した業務展開ではなく、業務機能展開となる。


3) 時間的順序

個々の業務は、専攻業務と後続業務を伴う。

業務の中で、品質保証に関する業務を、企業活動の行われる順に整理すると、品質保証体系図の原型ができあがる。品質保証体系図とは、品質保証のための活動を、いつ、どこで、誰が、何をするのかについて示したもの。品質保証体系図は、業務ステップと部門の二元表であり、これに各部門での業務を記述したものである。


【出典】 
1.  第3世代のQFD 第3章 「業務の核心のためのQFD (Job Function-QFD)」
2.  第3世代のQFD事例集 第5章 「Job-QFDの事例」

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