<1/3 13:30更新>
IMとは、組織的な知識の集約と生成。
ただし、その詳細は、各論者によって異なる。
各論者の主張を網羅した上で項目分けすると、
(1)
「市場を志向したゴールの共有」(Ballantyne,1997; 2003)
「企業ミッションの提示」(Gr?nroos,2000; 2007)、
「明確な事業方針の共有」(高橋,2000)、
「あるべきブランドビジョンの作成」(甲斐莊,2005)、
「明確なビジョンの提示」(小西,2013)
など、事業が目指す姿の設定。
(2)
「自部門の役割理解」(Gr?nroos,2000; 2007)、
「各部門の具体的な役割の相互理解」(甲斐莊,2005)、
など、各部門の相互理解。
「・・・」は、組織内地図と呼ばれており、
効果的な組織学習に重要な役割を果たすと言われている(安藤,・・・)。
(3)
「事業方針に適したノウハウの選定と共有」(Ballantyne,1997; 2003)、
「ブランド価値実現において関連する部門間の情報の共有」(甲斐莊,2005)、
「部門横断的なノウハウの表出化」、
「保有する製品・サービスや技術・ノウハウの理解と集約」(Gr?nroos,2000; 2007)、
「多様性ある能力や知識の共有」(小西,2013)
といった指摘にあるとおり、
情報、ノウハウ、技術など組織内部の知識の集約
(4)
組織内部の知識を集約した後、
IMの成果物は、新たな製品・サービスの創造に重きが置かれる。
一部の論者は、「製品・サービスを創造する取組み」に留まらず、
「社内システムアイディアの創造」(Gr?nroos,2000; 2007)、「技術の開発」(高橋,2000)
など、価値の創造と提供に関する組織内部のオペレーションに関する新たな知識の生成の重要性を説いている。このように、IMがカバーする範囲は「製品・サービスを創造する取組み」と「組織プロセスを強化する取組み」の両方に及ぶ。
これらの取組みは、
脱コモディティ化に欠かせない。
特に最近では、脱コモディティ化の持続性に着目した主張が見受けられるようになった。
この背景として、・・・・による競争優位は競合各社に猛追によって短命に陥り、早い時期に再びコモディティ化に直面することが指摘されている。
持続的な脱コモディティ化に向けた「製品・サービスを創造する取組み」については、
製品あるいはサービスのレベルで差別化を図るのではなく、事業全体で提供する価値のレベルでの差別化を目指し(加藤)、
未来の顧客の理想状態(コト価値)を実現するために必要な道具としての製品・サービスを不可分な関係として組み合わ組み合わせて提供することの重要性が説かれている(東)。
そして、顧客の知識・スキルの習熟度が上がることに合わせて、さらなる製品・サービスを生み出してさらに、継続的かつ連続的に製品・サービスの組み合わせを複雑かつ高度にしていくことの重要性が説かれている(Vargo?)。
また、持続的な脱コモディティ化に向けた「組織プロセスを強化する取組み」については、
・・・・・によって競合他社から見て模倣困難な状態を築くことの重要性や(バーニー)、
競合から見て一見すると非合理的に映る打ち手をあえて用いて・・・・することの重要性が説かれている(楠木)。
このように、事業の価値を高める組織的な取組みは、「製品・サービスを創造する取組み」と「組織プロセスを強化する取組み」の両方が欠かせない(オコナー)。
競争優位の持続性は、特定少数の要因で競争優位を説明できない状態を築くことが鍵であると言われている(楠木)。
事業全体で目指す価値レベルでの差別化を図り、それを実現するために必要な道具としての製品・サービスを組み合わせて提供し、顧客の知識・スキルの習熟に合わせて新たな手段としての新製品・サービスを継続的かつ連続的に生み出すという「製品・サービスを創造する取組み」と、そのような新製品・サービスの効率的な創造と提供を可能にする組織オペレーションを構築するという「組織プロセスを強化する取組み」を組織横断的に推進することによって事業の持続的な競争優位を確立する上でIMの必要性は今後さらに高まっていくと考えられる。
ただし、
現行のIMは、各論者が重要な推進上のポイントを示してはいるものの、
一連のプロセスの詳細や、アウトプットが明確に共有されるには至っていない。
そこで本研究では、
<以下、書きはしたけどボツ>
競争戦略においてその出発点は、
事業の戦略的ポジショニングであるが
現場におけるIMは、ビジョン、ミッションといった・・・文学的?観念的?・・・なステートメントを策定するにとどまる場合が少なくない。
それは当初のIMが組織内部の従業員のモチベーション向上を重視していたこと無関係ではない。
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<以下、あまり>
これらの見解を整理すると、価値の創造は大きく2つに分けられる。
1つが顧客価値を実現するための「製品・サービスを創造する取組み」、
もう1つがその取組みで円滑な組織オペレーションを実現するための「組織プロセスを強化する取組み」である(岩間,1996; 延岡,2006; 榊原・香山,2006)。
今までにない価値創造に向けて組織全体を繋ぎ合わせるべきと指摘するインターナル・マーケティング論者の見解を踏まえると、事業の競争優位を確立する上で両方の取組みが欠かせないことから、本研究としてはこれらを一括して「新たな知識の生成」と称したBallantyne(2003)の考えを支持する。