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Channel: ひょんなことから国立大学助教授になった加藤雄一郎の奮闘記
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パーソン・スタディの要領(案)

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今日は「コンピテンシー評価」のことばかり投稿していましたが、なにをしようとしているのかといいますと、、、今秋に新種の研修をやろうとしているのです。私の性格を知る人は、私が「研修」という言葉が大嫌いなことをご存知だと思います。が、これはほんとに「研修」です。にゃはは (≧▽≦)

ケース・スタディというのはよくありますが、今秋にやろうとしているのは、優れたケースの組織的共有ではなく、そのような優れたケースを創り出した「人間」に焦点を当てて、その人のDoをスタディしようというものです。だから、「ケース・スタディ」ならぬ、「パーソン・スタディ」なんです。

どんなふうに司会進行していこうかなとアレコレ思案中なのですが、そこで目を付けたのがコンピテンシー評価でした。先日から読み込んでいるコンピテンシー評価の参考図書は要所要所で参考になりました。ほんとうに大変参考になりました。ただ、本件の目的は、調査対象者のコンピテンシーの高さを評価しようとしているのではなく、優れた人物を通じて業務遂行に求められる『行動』を引っ張り出すことで、業務分掌を定めることにあります。したがって、本件で取り組む手順は、コンピテンシー評価をそのまま転用するだけでは十分ではなく、オリジナルの検討を加えていく必要があります。

本研修は今秋の実施。まだすこし時間があります。いろいろ考えてみます。今日の時点では以下のような流れです。


1. 考察全体範囲の設定

1.1 年表の作成

当該顧客と初めて接触してから現在に至るまでの期間を、シートの横軸に設定する。次に、全期間を通して、印象に残っている大きな出来事を書き込む。なお、ここでいう大きな出来事として、下記が該当する
・現在に至るまでを語る上で不可欠な出来事
・それまでの流れを新たな流れに変えた「局面の変化」に相当する出来事
・困難を伴った出来事
・困難を解決した出来事


1.2 期の設定

年表全体を俯瞰して、達成すべき目的が時間の経過とともに変化しているのかどうかを確認する。時間の経過とともに目的が変化している場合、目的ごとに「期」を分けて、[目的の数=期の数]になるよう期設定する。



2. 期別に行動の考察

以後では期ごとに考察を行う。対象となる期について以下の4ステップで考察を行い、その後、異なる期に移行して同様に4ステップの考察を行う。


2.1 初期行動の特定

 ある期に着目し、その期で最終的な成果に至るまでのプロセスのなかで最初に行ったことを尋ねる。具体的な質問は、「本件に取り組むにあたって、最初にあなたがしたことは、どんなことでしたか?」である。
 しかし、ここで回答された行動は抽象的な要素が含まれている場合が少なくない。そこで、抽象度を排した具体的・個別的な行動事実として詳細化する。頭の中に映像としてその場の光景が浮かぶ具体的な場面を想起してもらい、いつ、どこで、何を誰としたかを明らかにする。換言すると、「本人の頭の中で、映像としてありありと具体的に改装できるシーン」である。個々の場面の例としては、クライアントの経営層との戦略会議や、協力会社との打合せ、調査の実施、社内会議、自ら何かを書いたり作成しているシーンなどが挙げられる。


2.2 行動事実の列挙

 場面が特定されて、その場面で被面接者がどんなことをまずしたかが明らかになったら、当期において成果を生み出すために実際に行った具体的な行動のなかで、はっきりと記憶されているものを一連の行動連鎖として明らかにする。明確な意図をもって取った行動は、他人に指示されて行ったり、状況に迫られてやむを得ず取った行動よりも記憶が鮮明であり、以下の5W1Hを基本に聞き出せば、無理なく答えられるものである。

・ いつごろ (When)
・ どのような場面で (Where)
・ 誰に対して、または何(課題や問題)に対して (to Whom or to What)
・ どのような意図、理由のもとに (Why)
・ どういう工夫を加えながら (What)
・ どんな行動を取ったのか (How)
・ その結果どうなったのか

 質問の要領は、「まず最初に何をしましたか?」の後、「次に何をしましたか?」「他に何をしましたか?」の繰り返しである。一連の具体的な行動を引き出す方法として、その当初の行動が生み出した結果を同時に聞いていくことが効果的です。行動→結果→行動→結果→行動・・・ というように、芋づる式に行動事実を引き出すことができるようになる。うまく進めるポイントは、何といってもたくさんの行動事実を語ってもらうこと。そのためにも、結果を尋ねることで次にどんな行動を取ったかを流れるように思い出しやすくすることが重要である。
 なお、一連の行動連鎖のなかで特にポイントとなる行動と思われるものについては、「なぜ、そうしたのですか?」「そこで加えた工夫はどのようなものですか?」といった、意図を尋ねる質問をしてもよい。


2.3 工夫点、困難を乗り越えた点の確認

 行動事実がほぼ抽出できたと感じたら、最後に締めくくりを兼ねて「特に工夫した点」「苦労した点」などについ尋ねる。こうした点についてあらためて確認するのは、工夫した点や苦労した点はコンピテンシーが最もよく発揮されることが多いからである。具体的な質問は、「一連の取組みの中で、何か特に工夫した点、あるいは、苦労した点はありましたか。具体的なエピソードがあれば教えてください」となる。


2.4 PDCAの考察

 なぜ、上記の行動連鎖を取ったのかについて、当期のPDCAを考察する。たとえば、当時の状況、その状況に対して設定したゴール、ゴールを実現するために取った行動の評価内容など、「どのような状況に着目し、どのような目的を設定し、何をして、どう評価し、PDCAを繰り返したのか」を考察する。



3. 職務記述書の作成

3.1 主要行動(Do)の抽出

 ここまでの検討でリストアップされた行動事実をもとに、本ビジネスの遂行に求められる主要行動を選択して職務記述書(Job description)を作成する。


3.2 知識、能力・スキルの検討

 上記の各種Doを実行するために求められる「知識」や「能力・スキル」を検討する。


3.3 マインドセットの規定

 上記の各種Doを実行する当事者に求めれる価値観(価値基準)を、「マインドセット集」として箇条書きで明文化する。


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