「管理」というと、
ネガティブな印象を抱く人が少なくありませんが、
カタカナで「マネジメント」というとフワっとして許容の度合いが大きくなるのはなんだか不思議な感じがします。
管理に対してネガティブな印象を抱く人は、
「管理」が「監視」にすり替わってないかしら?
TQMにおいて管理は
結果そのものの達成度を監視することではなく、
結果を出すために必要な原因系(結果をもたらすプロセス)に目を向けて、
プロセスをより良くするためにPDCAを繰り返すこと。
とってもポジティブだと思うのですよね。
TQMにおけるそのようなマネジメントは、
「日常管理」と呼ばれています。
ということで、
自分自身の確認の意味で
過去に受講した日常管理のポイントを整理してみます。
↓
【定義】
日常管理とは、
組織のそれぞれの部門において、
日常的に実施されなければならない分掌業務について
その業務目的を効率的に達成するために必要なすべての活動
・ 日常管理は分掌業務そのものではない。分掌業務を効率するための活動である。したがって重点管理項目に「日常管理の徹底」を挙げることは適切ではない。
・ 日常管理は単なる維持ではない。「現状の維持」に留まらず、現行システムの延長線上にある「現状の向上」も含む。したがって、「維持・向上」となる。現行システムの延長線上にはない目標設定は、日常管理の範囲を超える。方針管理で扱われるべき。
・ 日常管理は、維持向上を繰り返し、常に一定の成果が得られるようなプロセス及びシステムを確立するための活動。これによって、責任・権限の委譲が可能になる。各部門・担当者がそのプロセス及びシステムを自律的に管理する「自主管理」が前提。
・ 日常管理は、「管理図」と「管理図を有効に機能させるための一連の活動」が一体となって発展してきた。
日常管理の考え方は、管理図から発展した。
管理図が
・ 日常管理の方法は、SDCAサイクルに基づく。標準化(Standardize)→実施(Do)→チェック(Check)→処置(Act)のサイクルお確実かつ継続的に回すことによって、一定の結果が確実に得られるようなプロセスやシステムを作り上げる。PDCAサイクルの計画(Plan)において、目標を現状又はその延長線上に設定する。そのため、日常管理では「P」ではなく、「S」と記す。
・ 日常管理では、ワン・ベスト・ウェイ(唯一最善の方法)を追求する。その象徴的な表現物が、作業基準書。作業標準をマニュアルとして表した作業基準書は、いわば知識のかたまり。
・ 日常管理の基本は、標準化。多くの人で構成される組織で仕事する場合、各人が勝手に行動すると結果のバラツキが大きく、効率が悪くなる。そこで、効果的・効率的な組織運営を目的として、共通に、かつ繰り返して使用できるための取り決めを「標準」という。標準化とは、最も優れた方法を標準として定め、みんながこれに則って行動することで、効率的に仕事を行うための方法。標準通りに行えば、良い結果が得られるように標準を作成することがポイント。
・標準化のメリットは、製品・サービスを効果的・効率的に得ることができることに留まらない。1)担当者間に互換性が生じること、2)情報伝達を省略できるようになること、そして、3)組織全体として技術レベルが向上することが挙げられる。
・ 標準化の対象を定めるにあたり、「結果に影響を与えるものは何か?」という点から検討する。プロセスの結果は、様々な要因によってバラつく。要因は無数に存在するため、結果に与える影響が大きく、安定した結果を得る上で見逃してはならないものに着目する。
・ 管理項目とは、目標の達成を管理するために、評価尺度して選定した項目。管理項目として様々な候補が考えられるが、「正しいかどうか」ではなく、「役立つかどうか」という観点から設定すべし。
[管理項目例]
企画提案件数
企画案採用件数
新製品開発件数
設計完了件数
設計責任クレーム件数
技術開発件数
特許申請件数
技術標準登録件数
設計変更件数(率)
市場ニーズ調査件数
ネック技術開発件数
設計審査実施率
設計審査指摘対策率
設計所要日数
一人当たり作図件数
一人当たり出図日程遵守率
開発日程遵守率
ーーー
不良率
工程能力確保率
工場出荷高
付加価値生産性
製造責任クレーム件数
出荷検査不合格率
製造技術開発件数
設備開発・改善件数
設備故障停止時間
外注先責任クレーム件数
部品納入不合格率
VE合理化金額
変動費率
時間当たり生産数
過剰在庫高
内外作比率
休業災害発生件数
設備稼働率
納期達成率
ーーー
製品別市場占有率
製品別売上高
新製品売上高比率
経常利益高(率)
営業責任クレーム件数
販売政策費
値引率
一人当たり固定費
修理金額
補修部品売上高
販売ルート開拓件数
即納率
指名獲得件数
販売計画達成率
新規取引件数
など。
・ 管理項目を決めた後、管理水準を設定する。管理水準は、「中心値」と「管理限界」から構成される。プロセスが管理状態にある場合、管理項目が取る値は一定ではないない。中心値は管理状態における平均値であり、管理限界は管理状態における値の範囲。「5±1%」「5±0.05mm」など。
・ 「不適合」と「異常」を区別することが重要。